参院選まであと2ヶ月ほどとなった。東京選挙区は近年でもとくに大激戦の様相となっている。定数「6」に加え、蓮舫氏が都知事選に出馬し失職したことに伴う任期3年間の「1」の椅子を、多くの政党の候補者が争う。ゴールデンウィークには早くも国民民主の玉木雄一郎代表が都内各地で街頭演説を行なうなど、事実上、すでに戦いは始まっている。
前回とは構図が一変 勢いのある国民民主、石丸新党も参戦
参院選の各選挙区のなかでも最も定数が多く、注目を集める東京選挙区。まずは、ここ最近の各党の戦いぶりを振り返ろう。
2022年の参院選では得票数順に自民・朝日健太郎氏、公明・竹谷とし子氏、共産・山添拓氏、立憲・蓮舫氏、自民・生稲晃子氏、れいわ新選組・山本太郎氏が当選。立憲の2人目や維新の候補、ファーストの会代表(当時)の荒木千陽氏らは当選ラインに届かなかった。
また、今回改選を迎える議員たちが当選した2019年の参院選では、同じく得票数順に自民・丸川珠代氏、公明・山口那津男氏、共産・吉良佳子氏、立憲・塩村文夏氏、維新・音喜多駿氏、自民・武見敬三氏が当選。立憲の2人目やれいわ、国民民主の候補は落選した。
つまり、前回2回の参院選東京選挙区では、自民2人、公明1人、立憲1人、共産1人が手堅く当選し、残り1議席をれいわや維新といった中小規模の政党が獲得する、という構図になっていた。
しかし、今回はその構図が一変。自民は武見敬三氏、公明は新顔の川村雄大氏、立憲は塩村文夏氏と奥村政佳氏の2人、共産は吉良佳子氏といったところは前回までとほぼ同じ政党の構図となるが、国民民主がいずれも新顔の牛田茉友氏、奥村祥大氏を擁立するほか、石丸伸二氏の新党「再生の道」の吉田綾氏も出馬する。
さらに、日本維新の会やれいわ、AIエンジニアの安野貴博氏が率いる新党「チームみらい」も候補者擁立を模索するほか、自民も2人目を立てる考えだ。
6議席目と7議席目では天と地 これまでより「指定席」が減少
自民、公明、立憲、共産、国民民主、日本維新の会、れいわと、主要政党だけで10人が出馬すると、少なくともこの中から3人は当選ラインに届かないこととなる。
さらに、6議席目までは6年の任期だが、7議席目は3年しか任期がない。3年後には2022年当選組とともに改選を迎えるうえ、2022年の東京選挙区の当選組に同じ党の現職がいる場合、2028年の参院選に向けて候補者調整が必要になる場合もある。6議席目と7議席目では「天と地」ほどの差があるというわけだ。
では、現状の情勢はどうか。
「自民は裏金問題などの逆風もありますが、1議席はとれるでしょう。組織票がある共産、公明も1議席の指定席は死守できるとみられます。勢いのある国民民主も、このままいけば1議席はとれるとの見方がもっぱらで、その分前回、前々回の参院選で主要政党が分け合ってきた『指定席』が減りそうです」(全国紙政治部記者)
となると、ここまでで4議席。それ以外の「2+1」議席をめぐる激しい争いが繰り広げられることとなる。
「2+1」議席に滑り込む可能性があるのははたしてどの党の候補者か。
「東京は浮動票が多く、永田町では、国民民主が2議席目を獲得してもおかしくない勢いだと話題になっています。自民は2人目の候補者が決まっていませんが、いずれにせよ安倍派だけでなく都議会自民党の裏金問題もあって6月の都議選での苦戦も予想され、そこから参院選で2議席獲得するのは容易ではありません。維新は2019年に1議席獲得しましたが、党勢が低迷している現在、こちらも1議席を獲得するのは大変です」(全国紙政治部記者)
そして、これまで指定席「1」を獲得してきた、あの政党の苦戦もささやかれる。
「立憲は前回、前々回と2人擁立し、1人を当選させてきました。これまでの立憲の支持率や組織票を考えると、1議席は固かったので、組織の引き締めや比例票の掘り起こしのためにも2人を擁立してきましたが、今回はその作戦が裏目に出てしまうかもしれません」(立憲東京都連関係者)
2017年に立憲という政党が立ち上がり、まだブームの余韻が残っていた2019年、そして圧倒的知名度を誇る蓮舫氏が東京選挙区に出馬した2022年は1議席を獲得できたものの、支持率が低迷し、浮動票が国民民主に流れていきそうな今回は、1議席の獲得も決して楽観視できないというのだ。