ロシアに修理依頼した韓国の40億ウォン山火事ヘリコプターエンジン、まるごと失う危機から回収


【写真】山火事鎮火のために水を汲み取っている韓国陸軍「チヌーク」ヘリコプター

共に民主党の姜由楨(カン・ユジョン)議員室が山林航空本部(以下、航空本部)から受けた資料によると、本部は3月28日にカモフのエンジン3台をロシアから国内に入庫した。このエンジンは「オーバーホール」(完全分解修理)のためにロシアに搬出されたが、昨年、競売にかけられるところだった。エンジン3台の鑑定評価額は計39億3000万ウォン(約4億円)。

◆39億3000万ウォンの山火事ヘリのエンジン、まるごと失う危機

航空本部は2020年12月、調達庁公開競争入札を通じて韓国人のカン氏が代表を務めるロシア企業A社と112万6200ドル(約1億6400万円)規模のカモフエンジンオーバーホール契約を締結した。A社が製作会社クリモフ(KLIMOV)とのエンジン修理を仲介した後、国内に入庫すれば、航空本部が代金を支払うという内容だった。

ところがA社は2021年5月、クリモフでなくロシア修理会社ATSに依頼した。A社側は「事実上、国営企業の支配を受けるクリモフは対ロシア金融制裁の対象だったため、クリモフの協力会社ATSとの契約が避けられなかった」と理由を説明した。

2022年8月にエンジン3台の修理が完了したが、問題が発生した。ウクライナ・ロシア戦争の余波でロシアの輸出規制手続きが強化され、「エンジンの韓国入庫が許可されない」とA社が航空本部に通知してきた。A社は調達庁と航空本部に入庫遅延による賠償金の免除と契約延長協力も要請した。

その間、A社は2023年半ばに修理代金を支払わなかったという理由でATSに訴えられた。A社は1審で勝訴したが、昨年9月に3審でATSに最終敗訴した。ロシア裁判所は「ATSのエンジン占有権が認められ、修理代金を留置権として公開競売処分することができる」という趣旨の判決を下した。ATSは直ちにエンジン3機の公開競売を進めようとしたという。

航空本部はこうした状況を把握した後、大型ローファームに諮問し、ATSと直接交渉してエンジンを買収する方針を昨年11月に確定した。航空本部はATSに競売の猶予を要請した後、1月に国内外代理人を通じて債権譲渡契約を結んだ。修理代金をATSに支給して競売の手続きを取り消すようにした後、エンジンを買収するのに成功した。その後、ロシア現地で保管されていたエンジン3台は3月に韓国国内に戻った。

A社は航空本部が契約延長要請に適時に応じなかったため、エンジンが公開競売に渡ったという立場だ。A社代表のカン氏は中央日報に「2022年8月から契約延長を要請したが、政府は輸出許可満了期間(2022年12月)が過ぎた後に延長の措置を取った」とし「担当公務員の怠慢によりエンジンを出庫できなくなった」と主張した。

これに対し航空本部の関係者は「契約延長とは別にA社が現地でATSに代金を適時に支払っていればエンジンが押収される状況自体が発生しなかった」とし「国家資産を守るために最善を尽くした本部に対して信義誠実を守らなかった会社が責任を問うというのは話にならない」と反論した。

A社と航空本部は訴訟戦をしている。これに先立ち2022年6月に修理を終えて国内に入庫されたエンジン2台の検収過程でも紛争が生じたからだ。A社は航空本部の品質保証検収要求などで修理代金の支払いなどが遅れ、ロシア当局から数億ウォン台の罰金を受けたと主張し、昨年9月にソウル中央地裁に損害賠償訴訟を起こした。これに対し航空本部はA社の帰責により発生したエンジン3台確保費用を賠償するべきだとして反訴する予定だ。A社はATSに修理の下請けを任せたなどの理由で、3月に調達庁を通した航空本部との契約が解約された。

◆「ヘリコプター主要部品の外国依存度を減らすべき」

国有財産が他国で競売にかけられる事態の予防策を設けるべきだという指摘が出ている。韓瑞大のイム・セフン・ヘリコプター操縦学科教授は「有効性の検証など入札資格の関連手続きを強化するべき」と話した。山林庁の関係者は「今後の似た紛争および訴訟に対応し、契約条項に大韓商事仲裁院の国際仲裁規則に基づく仲裁手続きを明示する」と明らかにした。

根本的にはヘリコプター部品の外国依存度を減らすべきだという指摘もある。山林庁によると、カモフヘリコプターは部品需給問題で2027年なら15機の稼働が中断し、危機を迎えている。国産ヘリコプタースリオン(KUH-1)も主要部品が外国産という。知産業研究院のパク・ヘジ研究員は「短期間で解決できる問題ではないが、部品を国産化して不安定なグローバルサプライチェーンによる問題に対応する必要がある」と述べた。



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