2025年は、5年に一度の“年金改革”が行われる年。配偶者が死別した場合にもらえる『遺族厚生年金』にも見直し案が。夫が亡くなった後の妻の長い“おひとりさま”期間に今からでもできる必要な備えとは?社会保険労務士・井戸美枝氏の解説です。
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■現行制度では男女で差が…『遺族厚生年金』見直しで、もらえる年金が減る!?
長寿社会になると妻や夫との死別もありますが、そんな中『遺族厚生年金』の見直し案が検討されています。現行制度では、20代から50代の子どものいない配偶者の場合ですが、例えば妻が25歳で夫を亡くし、夫が厚生年金に入っていた場合、妻が30歳になるまでは『有期給付』ということで、5年間だけ『遺族厚生年金』が出るとのことです。
Q.例えば妻が23歳で夫を亡くした場合『有期給付』は23歳から28歳までの5年になりますが、この時『無期給付』は28歳から始まるんですか?
(社会保険労務士・井戸美枝氏)
「いいえ。現 行制度では“30歳以上”だと、子どもがいる・いない関係なく『無期給付』で、ずっと貰えるんですが、“30歳未満”の若いときに夫を亡くした場合、若いから働けるだろうということで、30歳になるまでは支給されません」
一方、夫が妻に先立たれ、妻が厚生年金に入っていた場合ですが、本来なら、男女同じ条件になるはずですが、夫にはずっと支給されず、60歳になって初めて給付が始まります。実は55歳以上から受給できる権利が発生しますが、60歳までは支給停止となっています。
Q.これは“当然、若いうちは男性は働くだろう”という昔からの考え方ですよね?
(井戸氏)
「そうですね。昔からの考えで、妻が会社員で、妻が亡くなったとき、夫の年齢が55歳以上であるというのが絶対条件なので、60歳からの『無期給付』となっています」
そして見直し案では、妻も夫も、年齢にかかわらず5年間の『有期給付』となり、年金がもらえるのは65歳以上ということが検討されています。
Q.『有期給付』の5年が経過し、65歳の年金までの間は、支給がないということでしょうか?
(井戸氏)
「ないです。なので、5年の間に(働いて)厚生年金に皆で入ろうという形なのかなと私は思います」