新たなローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ」の内幕に関する共同通信の報道で、最有力とされながら落選したパロリン枢機卿(70)が注目されている。落選の一因に中国との関係改善に力を入れ、「中国寄りすぎる」との懸念が広がったと分析されているからだ。
■票数は本来非公表
共同通信は11日、コンクラーベについて「秘密の内幕判明」との独自記事を配信。「バチカン情報筋が秘密投票の内幕を共同通信に明らかにした。コンクラーベは外部との接触を遮断した密室で投票が行われ、本来公表されない票数が明らかになるのは極めて珍しい」などと意義づけた。
それによると、1回目の投票では1位がエルドー枢機卿(72)、2位がパロリン氏、3位が新教皇レオ14世となったプレボスト枢機卿(69)だったが、2日目の2回目以降はプレボスト氏に票が流れて同氏がトップに躍進。投票を重ねるごとに2位のパロリン氏との差が広がったという。
記事はパロリン氏の「敗因」について「バチカンの国務長官(首相に相当)を務めてきたパロリン氏は、イタリアメディアで最も有力視されていた。ただ専門家らの間では、中国との関係改善に力を入れ、中国寄り過ぎるとの見方も強かった」と論評した。
■対中外交の行方は
バチカンは台湾と1942年から外交関係を保っているが、49年に共産党が建国した中国とは国交がない。中国では政府公認のカトリック団体と、非公認の地下教会に分裂した状態が続いている。
中国国内の司教についても政府公認団体が独自に任命し、教皇に任命権があると主張するバチカンと長年対立してきた。先月死去した前教皇フランシスコが2013年に就任して以降、双方は協議を重ね18年に司教任命権をめぐり暫定合意。その後も延長が繰り返され、昨年10月にも4年間の延長が合意された。ただ合意内容の詳細は明らかにされていない。
パロリン氏はフランシスコの最側近として、中国との関係改善に力を発揮。北京へのバチカンの常設事務所設置も「望ましい」としてきた。
今回、米国出身のレオ14世が誕生したことで、バチカンの対中外交政策の行方も注目される。