【北京時事】米中両国が100%超の関税引き下げで合意したことを、中国側は緊張緩和に向けて「一歩を踏み出した」(何立峰副首相)と歓迎している。
ただ、一方的に関税をつり上げ、譲歩を迫る米国に対する不信感は根強い。
中国商務省は12日、報道官談話で、米国の高関税政策が「正常な経済と貿易に深刻な損害を与えた」と改めて激しく非難した。「米国は信頼できない」(中国共産党関係者)といった声も聞かれる。
一方で、関税引き下げまで至ったことに驚きも広がっている。「どこかで矛を収めると思っていたが、予想よりも早い展開だ」。北京の外交筋は米中協議の開催が発表されたことすら、意外感を持って受け止めていた。
ところが共同声明では、互いに関税を100%超引き下げることで合意したことが判明。「協議枠組みの設置までだろう」(市場関係者)とみられていた予想を覆すサプライズとなった。
中国のタカ派論客、胡錫進氏はSNSで、今回の合意を「中国の大勝利だ」と評価。対米交渉では「平等と相互尊重の原則」が大切になると訴えた。
中国では長引く不動産不況で消費など内需が冷え込んでいる。ここに米中貿易戦争の影響も加わり、中国の経済成長を支えてきた輸出の伸びは4月に鈍化。5月はマイナスに陥るとの見方が出ており、景気の先行きに不安が広がっていた。
日本政府関係者は「関税の影響は双方にとって外から見える以上に重荷になっているのかもしれない」と分析した。