将棋の第38期竜王戦5組ランキング戦・決勝戦が5月12日、大阪府高槻市の「関西将棋会館」で行われ、千日手指し直しの末に奨励会所属の16歳・山下数毅三段が高田明浩五段(22)に勝利。史上初となる奨励会三段がクラス優勝と決勝トーナメント進出を決めた。
山下三段は、竜王戦ランキング戦で下から2番目の5組に所属。若手有望株の藤本渚六段(19)、タイトル挑戦経験を持つ出口若武六段(30)ら強豪を次々に破り、決勝進出を決めていた。注目の決勝戦では、同じ森信雄七段(73)門下の兄弟子・高田五段と激突。千日手指し直しでは後手番となった高田五段が一手損角換わりを志向した。山下三段は、「序盤はどういう組み方が正しいのか分からなかった。少し模様は良かったと思うが具体的な良さに結びつける方法が分からず、何度か間違えて難しくしてしまった」と振り返った。それでも兄弟子を相手に崩れることなくリードを拡大。堂々と押し切って勝利を手にした。
大勝負を制した山下三段は、「持ち時間が5時間の将棋で結果を残せたことは、充実感があり自信につながる」とコメントし、静かに喜びを噛みしめていた。
山下三段は2018年に奨励会に入会。前期は6組で準優勝の成績を飾り、5組へ昇級していた。今期は5組決勝進出を決めると日本将棋連盟が新たな規定を新設し、今期の奨励会三段リーグ終了時点で自身2つ目となる“次点”を獲得することに。今期、降段点に該当しない限りプロ入りの権利を得る。
現在は奨励会所属の高校生。プロ以外がクラス優勝及び決勝トーナメント進出は史上初の大快挙だ。決勝トーナメントを勝ち上がれば6歳年上の絶対王者・藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)への挑戦権も獲得することとなる。決勝トーナメントは、各組から猛者が集結。過去に5組優勝から挑戦権を獲得したのは、現叡王で2023年の伊藤匠七段ただ一人だ。今まで以上に厳しい道のりとなるが、「これまでと変わらず一局一局を丁寧に積み上げていけたら」と語る山下三段は、夢の階段をどこまで駆け上がることができるのか。期待は高まるばかりだ。
この歴史的快挙に、ファンも大興奮。ABEMAの視聴者からは「スター誕生」「将棋界逸材多すぎ案件」「竜王戦夢あるわー」「聡太より6コ下かー」「本戦も楽しみね」「将来もタ恩師三だな」「流石に注目だよな」「こんなことあるんや」と祝福とともに驚きのコメントも多数寄せられていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部