テレビや雑誌などのメディアで健康情報を発信するトレーナーの坂詰真二さんが、疲れない体、引き締まった体、自信がもてる体を作るメソッドを伝授する本連載。
今回のテーマは「筋肉痛なしで効果が出る筋トレ」です。
【イラストで解説】筋肉痛が起こりやすい運動と起こりにくい運動の違い
■せっかくの運動習慣が…
日本では筋トレブームが続いています。ジムに入会する人の目的は体力をつけたい、体型を整えたい、健康診断の数値を改善したいなど、さまざまです。ですが、せっかくジムに入会しても、一般的に半数程度が1年で退会してしまうといわれています。
退会の理由の1つに挙げられるのは、トレーニングに伴うつらさや痛みでしょう。
トレーニングは「日常生活で受けている以上の刺激を体に与えることで、機能や構造を強化していくもの」ですから、ある程度のつらさを伴うのは仕方がないのですが、痛みは不要なものです。
なぜなら、痛みはその刺激が“体に強すぎることを示している信号”だからです。
トレーニングに伴う痛みの典型は、運動後におとずれる「筋肉痛」、専門的な言葉でいうと「遅発性筋肉痛」です。何日も筋肉に痛みが残り、階段の上り下りなどの日常生活でも不便を感じるので、次のトレーニングのモチベーションを下げる要因になりかねません。
しかし、この遅発性筋肉痛は必ずしも筋力アップに必要なものではなく、また、できるだけ発生しないようにコントロールすることが可能なものです。
■なぜ筋肉痛が起こるのか?
では、遅発性筋肉痛の対策をお伝えする前に、なぜ筋肉痛が起こるか簡単にお伝えしたいと思います。
筋肉は筋線維という髪の毛1本分ほどの細長い細胞の集合体です。この筋線維が重力に逆らって縮むことで関節を軸に骨が動き、筋肉が緩むことで骨が重力に引っ張られて元の位置に戻ります。これが人間の運動の基本的なしくみです。
筋肉が縮みながら力を発揮する収縮を「短縮性収縮=コンセントリックな収縮」、筋肉が重力に引き伸ばされながら力を発揮する収縮を「伸張性収縮=エキセントリックな収縮」といいます(イラスト参照 ※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
階段を上るときや、バーベルを持ち上げるときの収縮がコンセントリック、階段を下りるときや、バーベルを下ろしていくときの収縮がエキセントリックです。