北朝鮮軍の服務期間が男子10年、女子7年に延長されたと、国内に住む複数の取材協力者が伝えてきた。2021年に短縮されて以来維持されていた服務期間が2年延びたわけだ。背景には、若年世代の人口減少による兵員不足が深刻化していることがある。 (チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)
◆息子送る親を特別待遇
北朝鮮では毎年春になると「召募(チョモ)」が始まる。「召募」とは、新兵募集と軍入隊手続きを総称する言葉で、主に高級中学校(高校生に該当)の卒業時期である3月に始まり、4月に終わるのが通例である。
「召募」を迎え、当局は例年通り軍入隊を祝賀する様々な行事を開催した。また新兵とその親を慰労するため特別措置を取っている。咸鏡北道の取材協力者A氏が次のように伝えてきた。
「任地への出発までの間、召募生たちが旅館などの奉仕施設で親と一緒に過ごせるよう、党が措置をとっている。今は農村動員の時期だが、新兵の親たちには5日間の有給休暇が与えられ、子どもたちと過ごせるように配慮している」
A氏によると、新兵たちは軍服を着て学校や親の職場などを訪れ、「元気に軍隊に行ってきます」と挨拶をして回っていて、企業所や学校では、送別会を組織するよう指示されているという。
両江道でも同様だが住民たちは疲労を感じていると、別の取材協力者B氏は語る。
「みんな暮らしが大変なのに、召募生支援事業をしっかりやれという指示が下りてきて、私が所属する女性同盟では、一人あたり2000ウォンずつを集めておやつを支援した。おやつといってもパン程度だが、駅での送別式の際に渡すそうだ」
※女性同盟:正式名称は「朝鮮社会主義女性同盟」で、主に無職の主婦によって構成されている。
◆10年に延長… 最後の2年間は集団配置との情報も
「召募」行事が盛んに行われている中、軍服務期間が、男女ともに2年ずつ延長されたことがわかった。両江道の協力者B氏が4月末に、入隊者の親など複数の関係者を通じて調べたところ、男子10年、女子7年であった。
咸鏡北道の協力者A氏も、同様に関係者に会って調べ、4月末に次のよう伝えてきた。
「公式的には男10年、女7年だが、最後の2年間は、『集団進出』で社会主義建設の機関に配置され、その後に除隊させると聞いた」
「集団進出」とは、高校卒業生や除隊軍人を、国家的に重要な建設工事や炭鉱、農村など、住民に不人気で忌避する傾向が強い現場に、強制的に集団で配置する方法を指す。