【アブダビ=大内清】中東歴訪中のトランプ米大統領は14日、カタールの首都ドーハで同国のタミム首長と会談し、核開発を続けるイランと米国の協議や、パレスチナ自治区ガザを巡る停戦協議での協力深化などを話し合った。両首脳は、航空やエネルギーインフラ、量子技術などの分野で両国が総額2435億ドル(約35兆7000億円)のディール(取引)を行うと発表。カタールの防衛強化に向けて米国から装備品の調達を加速させることなどでも合意した。
発表には、カタール航空が米航空大手ボーイングからジェット旅客機「787ドリームライナー」など210機を960億ドルで購入することが含まれる。ホワイトハウスは、一連の合意による両国間の投資額は少なくとも1兆2000億ドルに上るとしている。カタールのムハンマド首相兼外相は米CNNテレビに、これは今後10年間の見込みだと説明した。
トランプ氏は、イランとの間で進める核協議に関し、「暴力的な方法は望まない。イランは決断しなくてはならない」と述べてイランに譲歩を要求。タミム首長に「イラン情勢で(米国を)手助けしてほしい」とも語った。首長は「われわれは小国だが平和の強力な促進剤だ」と応じた。
世界有数の天然ガス産出国であるカタールは、ペルシャ湾をはさんで隣接するイランと良好な関係にあるほか、ガザでイスラエルと交戦するイスラム原理主義組織ハマスにも強い影響力を持つ。両首脳は、イスラエルによる攻撃で人道危機が深刻化するガザ情勢などでも意見を交わしたとみられる。
トランプ氏は15日にアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに移動し、同国のムハンマド大統領らと会談する見通し。