大統領選で早くも〝当確〟みたいな雰囲気になって意気上がる野党の李在明(イ・ジェミョン)候補がまた失言(?)して話題になっている。選挙遊説で日本人の下手な韓国語の発音をモノまねして面白がってみせたのだ。これは国際的常識では〝外国人差別〟としてタブーなのに、公開の場で聴衆を喜ばせようと得意げにやってしまった。失言を含め、大衆受け発言で知られる李候補としては面目躍如の風景だ。
問題発言は「ありがとう」の韓国語「カムサハムニダ」にかかわる。正確な発音では「ム」は入らず「ハミダ」のようになるのだが、母音の多い日本語に慣れた日本人は「ム」を入れて言いがちだ。そこで韓国ではドラマや映画などで登場する日本人を笑いものにする際は「カムサハムゥニダ」風に「ム」を強調して言わせる。同じように韓国人の日本語にも「ありがとごじゃいます」みたいな独特のクセがあるけれど、それを日本の要人が公開の場で言えば大問題だろう。
李候補は今回、中国・台湾問題で「韓国は無関係だから双方に謝謝(シエシエ=ありがとう)と言っておけばいい」とする発言が無責任と批判されたことへの反論として、「何が悪い、日本大使にもカムサハムゥニダと言ってるよ」と居直ったのだ。日本も迷惑だが、それより台湾問題への認識不足がもっとひどい。(黒田勝弘)