蓮舫氏、国政復帰へ参院選比例で出馬表明 都知事選後の心境、批判への思い語る

参院選(7月3日公示、20日投開票)に立憲民主党から比例代表で立候補することを明らかにした元参院議員の蓮舫氏(57)は27日夕、東京都内で報道陣の囲み取材に応じ、約20分間にわたり国政再挑戦への思いや都知事選落選後の心境、党内外からの批判に対する考えなどを語った。都知事選での落選から1年を経ての選挙戦となり、「街頭に立つのが怖くなっていた。今はほっとしている」と率直な心境を明かした。一方、国政への再挑戦について党内から疑問の声が出ていることに触れられると、「そういう指摘を受けることは、これからもうちょっと謙虚にならなければなあと思う」と述べ、反省の弁を口にした。

蓮舫氏、国政復帰へ参院選比例で出馬表明 都知事選後の心境、批判への思い語る蓮舫氏、参院選比例出馬表明後の東京都内での街頭演説と囲み取材

都知事選落選後の喪失感と国政復帰への決意

蓮舫氏は、昨年の都知事選後のインスタグラムで「国政選挙(への立候補)はもう考えていない」「120万を超える人が『蓮舫』と書いてくれた。これで国政に戻ったら渡り鳥みたいだ」と発信していたが、今回は一転して国政再挑戦を選択した。取材では、1年前の言葉との矛盾点について再三説明を求められた。

これに対し蓮舫氏は、都知事選で敗れた後に「喪失感、お約束したことが実現できなかったという思いがあった。くやしさ、無力さが申し訳なく、そのときに(再び国政選挙に)出ますか? と言われたらどう思います?」と逆質問する形で、当時の精神状態を説明した。そして「言葉が出なかったので、『(国政は)いったんピリオド』と言わせていただいたが、この1年間政治を見てきて、色々な人と話をさせていただき、国会で使っていただきたい、使っていただければ仕事でお返しできるという確信に至った」と、国政復帰を決めた理由を主張した。

さらに「(国政再挑戦は)1年前の声とは違う道を選択したかも知れないが、ちゃんと話をして、私の言っていることは、『もう1歩前に進める』意味だったということをご理解いただければと思います」と述べ、当時の発言の真意を伝えようとした。

発信への反省と党内批判への向き合い方

インスタグラムでの発言と今回の決断が矛盾するのではないかという指摘については、「ただ単に、謙虚に受け止めるしかない」と述べた上で、「言葉を大切にする政治家として、発信に思いが欠けていたなというのは、すごく思っている」と自身の発信に対する反省を口にした。一方で、「ただ私の精神的状況を見たときに、弱かったと思っている。これからの発信は、本当に気をつけようと思います」と、メンタル面の状況が影響した可能性も示唆した。

同僚である立憲民主党の参院議員から、今回の立候補に疑問の声がSNSで上がっていることを指摘されると、「見させていただかないと、人間関係もある。お答えは難しい」としつつも、「比例であろうと労組であろうと、選挙区であろうと、仲間。政策は同じ方向を向いている。政権交代を目指している仲間なので、いっしょにやっていけると思っている」と述べ、党内での連携を重視する姿勢を示した。

また、自身の再挑戦に反対の声があるとの指摘に対しては、「私の不徳の致すところ。こういうことを言うと政治家っぽいんですけど」と前置きし、「直接私に電話してきて『(出馬を)やめた方がいい』と言った方は、ひとりもいなかった」と主張した。報道などを通じて反対意見は知っているが、「私がそれに対して思いを言うのは、また聞きになるので、お答えするのは難しい」として、間接的な批判への直接的なコメントは避けた。

国政復帰のきっかけと「新しい蓮舫」

国政復帰を決めたきっかけの一つとして、高額療養費の自己負担引き上げに関する政策を巡る政府の迷走を挙げた。また、盟友である辻元清美参院議員から春頃に「私ほど落ちた経験をした人はいない。そんな私が言うのだから、蓮ちゃん、戻ってきたら?」と声をかけられたとし、「その言葉が重かった。そのあたりから(再挑戦を)真剣に考えた」と、先輩議員からの励ましが重要な要素だったことを明かした。

都知事選落選後に処分したとしていたトレードマークの白ジャケットについては、「半分は残しています」と述べ、全てを捨てたわけではないことを明かした。さらに、比例代表で戦う今回は、名前を「れんほう」とひらがなで表記すること、そしてこれまで使用しなかった選挙用のタスキを初めて着用することを明らかにし、「『ニュー蓮舫』なので」と、今回の選挙戦に懸ける新たな意気込みを語った。