トランプ減税、共和党に内紛 債務膨張懸念、国債格下げも火種 米


 下院予算委員会は16日、関連法案を反対多数で否決。債務増を懸念した同党財政規律派が造反した。その直後、格付け大手ムーディーズ・レーティングスは債務膨張を理由に米国債の格下げを発表。ホワイトハウスと上下両院をいずれも共和党が握り、トランプ氏は強い権力基盤を確立したが、政権が揺らぎかねない状況だ。

 「まるでタイタニックだ。沈んでいくと思う」。中西部ウィスコンシン州選出のジョンソン上院議員(共和党)は14日、トランプ氏が「大きく美しい」と呼ぶ法案を、かつて氷山に衝突して沈没した豪華客船になぞらえて批判した。

 両院の税制合同委員会によると、法案がこのまま成立すれば、2034年度までに約3兆8000億ドル(約553兆円)の税収減となる。ジョンソン氏は「歳出規模をコロナ禍前の水準に戻す必要がある」と訴えた。

 そんな財政規律派の不満が下院予算委の採決で噴出した。賛成16票、反対21票で法案を否決。共和党から5票も反対が出た。造反議員らは低所得者向け医療支援「メディケイド」の適用厳格化などで歳出を抑えるよう求めている。

 ただ、メディケイドには地方の医療を支えている側面があり、削減には共和党内でも慎重論がある。同党は両院ともわずかな差で過半数を占めるにすぎず、トランプ氏は法案の議会通過に向け「団結しなければならない」とSNSで呼び掛けたが、造反を阻止できなかった。

 共和党が財政問題で揺れる中、ムーディーズは米国債の格付けを最上級の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げた。「現在検討されている政策では、赤字を削減できるとは思わない」と説明した。これにより、世界で最も安全な資産とされる米国債は、3大格付け会社すべてで最上位の格付けを失った。

 米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」のマクギネス所長は、減税で債務を増やすのではなく、「持続可能な財政に向かう計画を提案する時だ」と促した。 



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