【05月18日 KOREA WAVE】国連が韓国国内における移民や難民、特に中国人に対する憎悪表現の拡大に懸念を示し、政府に対策を講じるよう勧告した。これは一部の政治勢力による反中感情の拡大とも重なるもので、国際社会が韓国の人権状況に対して警鐘を鳴らした形だ。
国連人種差別撤廃委員会(CERD)は今月9日、7年ぶりに実施した韓国政府に対する定期審査の結果報告書を公開した。
報告書では「韓国社会において移民や難民に対する人種差別的な憎悪表現がオンライン・オフライン問わず継続的に増加していることを深く憂慮する」としたうえで、早急な対策を求めた。
具体的には、大邱市で起きたモスク建設反対運動や、非正規滞在者への暴行・拘束映像のネット拡散事例を挙げ、韓国政府の受動的な対応を問題視した。
委員会は▽人種差別的動機による犯罪に対する刑法上の加重処罰規定の導入▽政治家や公職者によるヘイトスピーチに対する調査・処罰▽移民・難民に対する偏見を払拭するための公共教育キャンペーンの実施▽インターネット上のヘイト表現への規制強化――を韓国政府に勧告している。
さらに、外国人労働者の劣悪な労働環境も大きな課題として指摘された。委員会は「特に農業などの分野では賃金未払いが多く、住環境も劣悪だ」と述べている。産業災害による死亡率が内国人の2倍であるにもかかわらず、補償制度や支援体制が不十分である点を問題視した。
この報告書は、今後の韓国政府の対中外交や移民政策に一定の影響を与えるものとみられる。外務省は現在、対応策の検討に入っているという。
韓国は1978年に人種差別撤廃条約に加盟しており、定期的に委員会から審査を受けている。今回の審査は2018年以来となる。
(c)KOREA WAVE/AFPBB News
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