昆虫界でも「イクメン」はモテる! アピールのために「赤の他人の卵」の世話すらいとわず


<「良いイクメンになりそう」と思われるために必死なのは昆虫も同じ? 日本や東アジアに分布するコオイムシの世界では「卵を背負っているオスは背負っていないオスよりもモテる」「自分の子ではない卵でも背負うことにメリットがある」ことが明らかに>

【画像】たくさんの卵を背負ったコオイムシのオス

育児に積極的に関与する男性を称する「イクメン」という言葉は、2000年代に急速に普及し、10年にはユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに入りました。その後も一過性のブームで終わることなく、男女共同参画社会を表すひとつのムーブメントとして定着しています。

20年の国勢調査によると、男性の生涯未婚率(50歳時に結婚したことがない人の割合を「45歳~49歳」と「50歳~54歳」の未婚率の平均値から算出したもの)は28.3%でした。40年には30%を超えると推定されています。

結婚したい男性にとって、女性に「イクメンになりそう」と思われることは大きなセールスポイントとなりそうです。そしてそれは人間の世界だけでなく、他の生物にもあてはまるかもしれません。

鈴木智也・広島修道大助教、大庭伸也・長崎大准教授と東城幸治・信州大教授による研究チームは、昆虫の世界で「イクメンアピールしたオスの優位性」を示すことに成功しました。オスが卵を背負って子(卵)の世話をする「コオイムシ」で、「卵を背負っているオスは背負っていないオスよりもモテる」「自分の子ではない卵でも背負うことにメリットがある」ことを明らかにしたのです。研究の詳細はオープンアクセスの国際学術誌「Ecology and Evolution」に4月24日付で掲載されました。

昆虫の世界で「イクメンがモテる」とはどんな状況なのでしょうか。怠け者のオスはモテないまま朽ちるしかないのでしょうか。さらにメスは「良いイクメンを捕まえる」以外に、どんな戦略を立てているのでしょうか。概観してみましょう。

<漢字表記は「子負虫」>

コオイムシは、成虫で体長2センチ程になる水生カメムシ(カメムシ目コオイムシ科の昆虫)です。岐阜地方では「ケロ」とも呼ばれます。

日本全国や中国、朝鮮半島に分布しており、小魚、オタマジャクシ、貝類などを食べて生活しています。かつては水田や浅い用水路、ため池などでよく見られましたが、水田の減少や農薬散布の影響で激減し、環境庁レッドリストによると2020年時点で準絶滅危惧種となっています。



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