パキスタン軍が使用してインド軍機を撃墜か 中国製空対空ミサイル「PL-15」はなぜ長射程が実現できているのか?


 インドとパキスタンの間で、大規模な空対空戦闘が行われ、インド軍が使用していたフランス製の4.5世代戦闘機ラファールなどが撃墜されたもようです。

【本記事の図】デュアルパルスロケットモーターの構造のイメージ

 正確な状況が分からないため、その原因を断定することはできませんが、可能性の一つとして、パキスタン軍が使用していた中国製の空対空ミサイル「PL-15」の長射程性能があったのではないかと言われています。

 PL-15の射程は、アメリカやNATO、そして日本も運用する空対空ミサイルAMRAAMを超える長射程性能を持つと言われ、分析者によって異なるものの最大で200キロメートルから300キロメートルもあるとされています。

 しかも、パキスタンに供給されインド機を撃墜したPL-15は、オリジナルから性能を落としたPL-15Eだと見られていることもあり、PL-15の長射程性能は日本にとっても大変な脅威であるという指摘も聞かれます。

 以下では、PL-15の長射程性能に着目し、どのような技術により、なぜ長射程が実現できているのか解説したいと思います。

 PL-15は、中国がJ-10、J-20などの戦闘機に搭載するために開発した長射程空対空ミサイルで、弾体部の直径はAMRAAMよりも少し太く、国産の99式空対空誘導弾(AAM-4)とほぼ同等、全長はAMRAAMやAAM-4を30センチ以上上回る大型のミサイルです。

 ただし、アメリカが開発したAIM-174Bや中国のPL-17のような、後方のAWACS(早期警戒管制機)などを狙うための超大型長射程ミサイルではなく、戦闘機が高機動を発揮しつつ、敵戦闘機と交戦することを想定したミサイルとなっています。

 PL-15は、シーカーとしてアクティブフェーズドアレイレーダー、中間誘導に慣性誘導+指令誘導という、長射程ミサイルでは標準の構成をとっていますが、特徴的な点が一つあります。

 それはロケットモーターが「デュアルパルスロケットモーター」である点です。ほとんどの対空ミサイルが、「デュアルスラスト」の固体ロケットモーターを採用していますが、PL-15はデュアルパルスロケットモーターを採用することで、AMRAAMを上回る長射程性能を獲得しているのです。

■ パルスロケットモーターの特徴

 パルスロケットモーターは、弾道ミサイル迎撃用のSM-3ミサイルでも第3段ロケットとして採用されています。これは、SM-3を正確に迎撃軌道に乗せるためで、パルス(間欠的な燃焼)の間隔や回数を任意に変更できることから採用されています。

 パルスロケットモーターは、その構造から同じサイズの固体ロケットモーターに比べ、総推力では劣ってしまいます。しかし、パルスを制御することで、推力制御が容易な点がメリットなのです。



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