「休職・退職サポート」を宣伝するクリニックの“闇” 患者を収入源として診る精神科医…若者が安易に履歴書タトゥーを彫ってはいけない理由


 労働契約は、双方の同意による。労務を提供することと引き換えに賃金が支払われる。労働者に退職の意思があるなら、その意思は尊重されなければならない。

【写真】「診断書即日発行」の問題点

 この点は、労働者が使用者に直接意思表示する場合も、退職代行を利用して意思表示する場合も同じである。その多くは弁護士ではない退職代行業者は、単に退職の意思を伝えるだけなら、非弁行為にあたらない。

 会社の側としては、退職業者の発言に非弁行為相当の業務が含まれているなら、そのことを伝えて、交渉を拒否し、従業員本人と退職条件について直接交渉することもできる。しかし、非弁行為でなく、単なる退職意思の伝達なら、それを拒否することはできない。

退職代行サービスとブラック企業

 業者を使われて従業員が次々に辞めていく会社は、そもそも労働条件が劣悪なのであろう。退職代行サービスが今後も普及するなら、ブラック企業は存続できなくなる。それは、労働者個人にとってだけでなく、産業社会にとってもプラスであり、そこに退職代行業のはたす社会的使命があるともいえる。

履歴書タトゥーとしての短期離職

 転職のたびに、職務内容、待遇、職位が階段状に上がっておれば、書類を面接の方にまわす。「空白」や「短期離職」があれば、書類選考の段階で落とす。

 「短期離職」を繰り返す人だけしか、応募してこなかったらどうするか。その場合、採用担当者は最高度の警戒心をもって面接に臨む。

 審査においては、もっぱら「継続力」や「定着性」に集中する。面接試験では、「短期離職」の理由ばかりを集中的に尋ねる。応募者は「ミスマッチだった」「体調不良だった」などと説明するであろう。しかし、それに対して、面接官は、「また同じ理由で辞めるのでは?」「弊社なら適応できるといえるのか?」「うちにきても体調は悪くならないか?」などと執拗に聞く。これに対し、応募者は、「人格否定だ!」「ハラスメントだ!」と被害者意識をもって応ずるわけにはいかない。

 会社側からすれば、採用にはコストがかかる。短期離職されることは、採用の失敗なので、やめそうな人間から先に落としていく。

 首尾よく労働契約締結にこぎつけても、会社側は試用期間を設けて、定着性を見極める。継続性を試験するために、他の社員以上に厳しい業務を課すかもしれない。

 会社としてはその社員に対して疑心暗鬼になっているので、試用期間中は文字通り毎日が試験となる。それに耐えられなければ、本採用に値しないということである。



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