“護憲”に転じた自民 vs 不満爆発の高市氏 安倍氏なき改憲論争が引き起こした自民の内乱劇


【写真】改憲論議をリードしてきた安倍晋三氏

 (尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員)

■ 改憲を叫んできた自民党の腰が引けた

 3月13日の実質審議スタートから、計6回の開催を重ねてきた衆院憲法審査会(枝野幸男会長=立憲民主党)。

 筆者は3月18日にJBpressで公開した記事「改憲派も護憲派も“悶絶”? 自民から共産までもが警戒する、立憲・枝野憲法審会長の絶妙なテーマ設定 改憲発議実現で「安倍晋三的改憲」の終焉なるか」で、この憲法審査会によって「これまでの「護憲派」「改憲派」というイメージが揺れ動く可能性がある」と指摘したが、それは正しかったようだ。

 議論が進むうちに、これまで勇ましく改憲の必要性を叫んでいた自民党の腰が引け始め、項目によっては野党以上に、改憲に慎重な姿勢を見せている。まさに「攻守逆転」の様相だ。

 いわゆる「改憲勢力」が、これまでいかに雑ぱくなイメージだけで憲法を語ってきたのか。それが国会という「表」の議論の場で、白日のもとにさらされたと思う。

 枝野会長は今国会の衆院憲法審査会で、あらかじめ議論のテーマを細かく仕分けした上で、毎回一つのテーマに絞って議論を進めている。

 具体的には(1)「選挙困難事態」の立法事実(3月13日)、(2)参院の緊急集会の射程(3月27日)、(3)国民投票法をめぐる諸問題・放送CM、ネットCM(4月3日)、(4)同法をめぐる諸問題・ネットの適正利用、特にフェイクニュース対策(4月10日)、(5)臨時国会の召集期限(4月24日)、(6)首相の解散権制限(5月8日)――という具合だ。

 第1回の「選挙困難事態」、第2回の「参院の緊急集会」は、従来の議論の流れに沿ったテーマで、対立構図も見えやすかった。ここまでは想定通り。

 焦点は(5)臨時国会の召集期限(4月24日)、(6)首相の解散権制限(5月8日)の二つだ、と筆者はみていた。



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