2024年度通信制高校の在籍者数は、1995年からほぼ倍増
いま、“全日制高校に通わず東大合格”というルートが静かに広がっている。自由度の高いカリキュラムやオンライン学習の台頭で、「自分らしい学び」を求めて通信制高校を選ぶ生徒も増えているようだ。進学先の実績を伴う事例も見られ、例えば角川ドワンゴが運営するN高等学校は、2025年に7名の東大合格者を輩出した。今回は、通信制高校を経てほぼ首席の成績で東大に合格したOverfocus代表の神田直樹氏が、同じく通信制高校や高卒認定試験を経て東大に進学した4名にインタビューを実施。5名それぞれの“どん底”と、そこからの逆転ストーリーを紹介する。
【グラフで見る】2024年度の通信制高校数は、公立と私立を合わせて303校。2000年以降、特に私立が急増していることがわかる
“全日制高校に通わず東大合格”という選択肢が広がりつつある背景には、通信制高校の急拡大がある。文部科学省が発表した『2024年度学校基本調査』によると、2024年度の通信制高校の在籍者は29万87人と、1995年と比較するとほぼ倍増していることがわかる。
実は私自身、東大に合格するために高校1年生のはじめから通信制高校に入学、2018年東京大学文科1類に合格した1人だ。
しかし、この道は決して順風満帆と言えるものではなかった。むしろ、苦悩の連続だったと言ってよい。
東大を志望したのは中学3年の時。当時の成績は学年の真ん中あたりで、到底東大レベルには及ばなかった。この状況で、高校に通って他の生徒と同じ授業を受けていたのでは、東大に最短・最速で合格することはできないと考えた私は、全日制高校にも塾にも通わず、独学で東大合格を目指す道を選択した。
ところが、受験勉強を始めるも、成績は思うように伸びなかった。はじめのうちはゲームばかりしてしまい、1日12時間のゲームと引き換えに、勉強時間はゼロ。高校1年生の冬に受けた全国模試は、偏差値が45だった。
「このままではいけない」と思い、あらゆる勉強法を試した結果、自分にあった勉強法を見つけてからは学習時間や成果が安定し、最終的に首席とほぼ変わらぬ点数での東大合格を果たした。
高校との関わり方や受験戦略も、多様な在り方が広く認められる時代だ。高校に毎日通うことは決して当たり前ではないし、受験戦略のために最良の方法だとも限らない。そして、青春を得るための唯一の道でもない。今後はそのような社会になっていくのではないだろうか。
以下では、通信制高校や高卒認定試験を経て東大に進学した4名にインタビューを実施。それぞれの合格までの足取りや、今高校への通学に悩む人たちへのメッセージなどを聞いた。
【インタビューメンバー紹介】
神田直樹(筆者)
2018年度、(全日制)高校にも塾にも通わず、トップクラスの成績で東京大学文科1類に合格。
Aさん
2023年度東京大学理科2類合格。闘病生活により、中学1年生の頃から不登校となり、通信制高校に進学。年間登校12日程度のコースに在籍。
Bさん
2022年度東京大学理科1類合格。中学受験を経て入学した中高一貫校の厳しい校風に合わず、不登校となり、高校は進学せず。高校1年生で高卒認定資格を取得。
Cさん
2023年度東京大学文科3類合格。中学生のころから起立性障害により不登校となり、高校進学のための出席日数要件を満たせず、通信制高校に進学。
Dさん
2021年度東京大学文科2類合格。中学生時代より舞台俳優として芸能活動をしていたため学校に通えず、通信制高校に進学。