[ニューヨーク 21日 ロイター] – 米国の一部の州がトランプ大統領の「相互関税」の差し止めを求めた訴訟は、21日に口頭弁論が行われ、州側は国家非常事態を宣言して関税を課すのは大統領の権限を越える行為だと主張した。
訴訟はニューヨーク、イリノイ、オレゴンなど12州の民主党系司法長官らが起こした。ニューヨークにある米国際通商裁判所は、現段階では関税の合法性について判断を示さなかった。判決は数週間以内に出される見通し。
州側はトランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)を著しく誤って解釈しており、同法を貿易規制のための「白紙委任状」のように扱っていると訴えた。
オレゴン州を代表する弁護士ブライアン・マーシャル氏はIEEPAについて、関税の対象国、水準、期間などを自由に設定する権限を大統領に与えていないと主張した。また同法は米国に対する「異例で並外れた」脅威に対処することを目的としており、大統領の行動は特定の緊急事態と密接に関連している必要があると指摘した。大統領は「単に交渉のカードとして」関税などの措置を利用することはできないと強調した。
一方、司法省高官はIEEPAが大統領に貿易協定などの外交政策目標を交渉する権限を与えており、交渉力を強化するために関税を用いることは認められているとの見解を示した。
大統領の緊急権限が発動された後は、裁判所は大統領の行動の合理性を審査することはできないと述べた。また、IEEPAに関税という言葉が使われていなくても、同法が定める「取引を調査、規制、または禁止する」権限に含まれると主張した。