【カイロ=佐藤貴生】アフリカ東部エチオピアで今月上旬に始まった連邦政府軍と北部ティグレ州を支配する「ティグレ人民解放戦線」(TPLF)の軍事紛争で、同国の政府系通信社は25日、連邦軍が戦闘開始から約3週間で1万人以上のTPLFの兵士を「壊滅させた」と伝えた。ロイター通信は同州周辺の通信が遮断されているため真偽は確認できないとしている。
連邦軍はティグレ州の州都メケレを包囲したとし、アビー首相は25日夜までの降伏を呼びかけたが、TPLFは拒否している。また、アフリカ連合(AU)の代表が同日、調停のためエチオピア入りする見通しとなっているが、アビー氏は「内政干渉」だとして停戦の呼びかけに応じない姿勢を示している。
国連のグテレス事務総長が戦闘激化に危機感を示したほか、欧米でも懸念が広がっている。
連邦政府側の人権委員会は24日、TPLFが今月上旬にティグレ州で民間人約6百人を虐殺したとする報告書を発表した。これまでに民間人4万人以上がスーダンに避難したほか、エリトリアにロケット弾が撃ち込まれるなど、周辺国にも影響が広がっている。