ゴールド(金)の価格上昇はインフレとは関係ない…億万長者の投資家がその理由を説明(海外)


アインホーンは、ゴールドの価格が2025年に記録的な上昇を遂げた後も、なお上昇を続けると見ている。一方で、価格が過度に上昇した場合には、懸念を抱かざるを得ないとも語っている。

「ゴールドが3500ドル(約51万円)や3800ドル(約55万円)になれば非常に嬉しいが、3万ドル(約440万円)や5万ドル(約730万円)になったら極めて不安になるだろう」と、アインホーンはニューヨークで開催されたソーン・インベストメント・カンファレンスの際にCNBCの取材に応えた。

2025年4月、ゴールド価格は一時的に1オンス(約28グラム)あたり3500ドルの高値をつけた。この急騰は、関税発動によるインフレ懸念が背景にあると考えられている。歴史的に見ても、ゴールドは急激なインフレに対する最も優れたヘッジ手段とされており、実際、ゴールド価格は年初来で22%上昇している。

とはいえ、インフレ率の伸びが鈍化し、ゴールド価格も1カ月ぶりの安値に落ち着いている。それでもアインホーンは、別の要因により価格の上昇が続くと見ている。

「ゴールド価格はインフレに左右されるわけではない。財政政策と金融政策への信頼感が関わっている」とアインホーンは述べ、政府がこの両面で積極的な姿勢を強めていることが財政赤字の拡大を招いていると示唆した。しかも、政策当局はこの財政赤字を軽視しているという。

彼の見解によれば、ゴールド価格の上昇は、1兆9000億ドル(約276兆円)にのぼる連邦予算赤字を縮小しようとする取り組みに対する失望感を反映している。

トランプ政権が設置した政府効率化省(DOGE:Department of Government Efficiency)は当初、2兆ドル(約290兆円)の連邦支出削減を約束していた。

「数カ月が経過したが、実際には1500億ドル(約21兆7300億円)程度の削減にとどまっているようだ」とアインホーンは指摘する。

「これは来年度の国防費増額分を補う程度に過ぎず、非常に速いペースで消費されてしまうだろう」

同じことは関税にも当てはまる。トランプ政権は関税を政府歳入の大幅な増加策として喧伝したが、アインホーンによれば、新たな関税による歳入は約1000億ドル(約14兆5000億円)にとどまる見通しだ。

Filip De Mott



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