NHK朝ドラ『あんぱん』、千尋に迫る「退場フラグ」の衝撃…史実と俳優の動向が示唆する運命

今田美桜が主演、北村匠海が相手役を務めるNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、中沢元紀(25)が演じる主人公・柳井嵩(北村匠海)の弟・千尋に、残酷な退場フラグが立っている。物語のモデルであるやなせたかしさんと妻・小松暢さん夫妻を巡る時代背景と、俳優自身の動向が、視聴者に大きな不安を与えている。

『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・小松暢さんをモデルにした作品であり、今田が暢さんをモデルにしたヒロイン・朝田のぶを、北村がやなせさんをモデルにした柳井嵩を演じる。中沢が演じる嵩の弟・千尋のモデルは、やなせさんの実弟である柳瀬千尋さんだ。ドラマの舞台は太平洋戦争真っただ中であり、物語は1944年(昭和19年)7月に突入。兄の嵩が陸軍伍長となった一方で、千尋は海軍予備学生に志願し、海軍少尉となっていた。6月11日放送回では、兄弟が3年ぶりの再会を果たした。

NHK連続テレビ小説「あんぱん」で柳井千尋を演じる中沢元紀NHK連続テレビ小説「あんぱん」で柳井千尋を演じる中沢元紀

史実が示唆する千尋の運命

千尋はもともと法律家を目指して京都帝国大学に進学していたが、戦況悪化により卒業が繰り上げられた。学友たちの同調圧力もあり、「遅かれ早かれ兵隊にとられるなら」と、自ら海軍予備学生への道を志願した背景がある。この史実を踏まえると、千尋の運命には暗い影が差している。

史実における柳瀬千尋さんは、昭和19年12月に戦死している。駆逐艦呉竹に乗って台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡を移動中、敵艦の魚雷攻撃を受け、呉竹が沈没したことによるものだ。広島県呉市上長迫町の呉海軍墓地には、千尋さんを含む乗組員たちの名前が刻まれた慰霊碑があり、その悲劇を今に伝えている。

「あさイチ」出演が重なるジンクス

さらに、中沢元紀が6月13日に朝ドラ放送後の情報番組『あさイチ』に出演予定であることが、視聴者の不安に拍車をかけている。『あさイチ』の金曜恒例「プレミアムトーク」に朝ドラの出演俳優が登場すると、その演じるキャラクターが本編から退場するというジンクスが長年囁かれてきたためだ。

史実における千尋さんの戦死と、演じる中沢さんの『あさイチ』出演。この二点が重なることから、視聴者の間では、千尋の今後の展開に対して、

  • 「海軍将校の白い軍服はカッコいいのですが史実を知る未来人目線では嫌な予感しかしない」
  • 「千尋くん海軍は嫌な予感しかないので考えただけで泣きそう」
  • 「千尋は他者に優しく接し力になる性格でしたね。誰かがやらなければならないなら自分が率先して出征しようと考えたのかもしれません。でも、嵩としては千尋には法学へすすんでほしかったはず。千尋が面会を求めたのは、これが兄弟の最後の面会になるからかも?」

といった、心配や悲痛な声が多く寄せられている。

視聴者の不安とキャラクターへの愛着

千尋を演じる中沢元紀は、183センチの高身長と愛らしいえくぼが魅力的な爽やか系イケメンとして、多くの視聴者に好印象を与えている。キャラクター設定も「兄思いで誠実、そのうえ文武両道な弟」と、非の打ち所がない人物として描かれてきたため、彼の身に起こるかもしれない展開への不安は大きい。これまでにも、千尋には視聴者が心を奪われた数々の名場面があった。

視聴者を揺さぶった名場面とは

中でも、6月12日放送回での兄・嵩との”圧巻の二人芝居”は大きな反響を呼んだ。この回は15分間全てが、兄と弟の二人の会話劇で展開された。クライマックスでは、千尋が幼い頃からのぶ(今田美桜)に惹かれていたことを嵩に打ち明け、抑えきれない熱い思いをぶつけたのだ。

千尋は、嵩がのぶへの告白をためらった結果、のぶが一等機関士の次郎(中島歩)と見合い結婚してしまったことを責め、こう宣言した。「わしは生きて帰れたら、もう誰にも遠慮はせん。今度こそのぶさんをつかまえる。(人妻でも)構わん!」

そして、千尋は戦争への憤りと未来への希望を込めた、魂の叫びとも言える長いモノローグを続けた。

「わしもよく、伯父さんが言いよったあの言葉を思い出すがや。何のために生まれて、何をして生きるがか。分からんまま終わるらあて、そんながは嫌じゃ。この戦争がなかったら、わしはもっと法学の道を極めて、腹を空かせた子どもらや、虐げられた女性らを救いたかった。この戦争がなかったら、いっぺんも優しい言葉を掛けちゃれんかった母さんに、親孝行したかった。この戦争がなかったら、兄貴ともっと何べんも、酒を飲んで語り合いたかった。この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより、わしは愛する人のために生きたい!」

視聴者の感動と共感

この千尋の痛切な叫びは視聴者の心を強く揺さぶり、「一連のセリフ、詩のようだと思いながら聞いてた」「胸に迫るものがありすぎて、切なすぎてただただ泣ける」といった感動と共感の声が多く寄せられた。

史実で知られる悲劇的な運命に加え、俳優の「あさイチ」出演という偶然が重なり、「退場フラグ」が濃厚となった千尋。彼の誠実な人柄と、名場面での魂を込めた演技が視聴者に深い感動を与えているだけに、今後の展開に注目が集まっている。

[Source]
https://news.yahoo.co.jp/articles/13b3fcbd36c5dc57481801626ef3453371011ff9