トランプ、トランプコインの購入者を特別ディナーに招待。「自分と会う権利」を売って私腹を肥やす


【画像】トランプ氏の暗号通貨「$トランプ」の最大の保有者、中国出身の暗号通貨ビリオネア、ジャスティン・サン氏

トランプ氏は5月22日夜、自身の暗号通貨「$トランプ」の上位保有者220人をディナーに招待した。

民主党のリチャード・ブルーメンタール上院議員は22日、「自分へのアクセス権を競売にかけており、腐敗であることは誰の目にも明らかだ」とトランプ氏を批判した。

ボストンカレッジの歴史学者ヘザー・コックス・リチャードソン氏は、トランプ氏の行為はアメリカ史上前例がないと指摘する。

ホワイトハウスのある高官は、「暗号通貨事業はホワイトハウスとは一切関係ない」と匿名を条件に語った。

一方、ホワイトハウスのアンナ・ケリー副報道官は、「トランプ大統領は常にアメリカ国民の最善の利益のために行動しています。だからこそ、彼と彼のビジネスに対する虚偽の報道や中傷が何年も行われたにも関わらず、圧倒的支持で再選されたのです」と述べた。

トランプ氏は1月、就任式の3日前に自身の暗号通貨「$トランプ」の販売を開始した。

このコインに本質的な価値はないものの、価格は一時75ドルまで高騰し、初期購入者58人が、それぞれ1000万ドル以上の利益を得た。

しかしその後、価値が急落して多くの人が損失を被り、トランプ氏が4月下旬にコンテスト企画を発表する前には、1枚約8ドルで取引されていた。

この企画は、1月17日〜5月15日のトランプコインの平均保有量上位220人を、バージニア州にあるトランプ氏のゴルフリゾートで行われるディナーに招待するという内容だった。

このうち上位25人は、ディナー前のVIP対応の歓迎会と翌日のツアーにも参加できる。当初、ツアーには「ホワイトハウス見学」も含まれていたが、その後削除された。

ディナーが開かれるバージニア州のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブの近くで抗議活動を行う人々(2025年5月22日)コイン販売を管理している会社「GetTrumpMemes.com」が運営するスコアボードによると、コンテストが終了した5月15日時点で、上位220人は合計で1380万枚のコインを保有しており、その価値は1億9200万ドルを超える。

購入者の名前のほとんどは、「MeCo」「CASE」「GAnt」「REKT」などの通称で表示されおり、一般市民は本名を知ることができない。

トランプコイン最大の保有者は、2000万ドル超を保有する中国出身の暗号通貨ビリオネア、ジャスティン・サン氏だ。

サン氏は、当選者の中でも数少ない身元が判明している人物の一人で、21日には「トランプ大統領を支援できて光栄です。一番のファンとしてガラディナーにご招待いただき、感謝しています!$トランプのトップ保有者として、皆さんと交流し、暗号通貨について語り合い、業界の未来について議論できることを楽しみにしています」とXに投稿している。

サン氏は2024年には、トランプ一族が関与する「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」が発行した暗号通貨を7500万ドル分購入している。

トランプ氏が2度目の大統領に就任した後、米証券取引委員会(SEC)は、サン氏と同氏関連企業に対する民事詐欺訴訟を、一時停止するよう連邦裁判所に求めた。

他のコイン購入者たちが、何を求めてトランプ氏と面会するのかは公的記録からはわからないが、物流会社のフレイト・テクノロジーズは、証券取引委員会(SEC)への提出書類で、メキシコとアメリカの「公正でバランスの取れた自由貿易」を求めるために、最大2000万ドル分のトランプコインを購入すると説明している。その一方で、同社の広報はディナーには出席しないと述べている。

トランプ氏は1期目の大統領任期中も、自身の経営するホテルやゴルフリゾートを通じて外国からの利益を得たことが問題になったが、2期目の現在は、暗号通貨関連の事業に力を入れている。

ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)は、アラブ首長国連邦の国営企業が、WLFIのステーブルコインを使って、20億ドル規模の取引を行ったとトランプ氏の5月の中東訪問直前に発表した。

暗号通貨などでトランプ氏がどれほどの収益を得ているのかは今後も明らかにならないかもしれない。トランプ氏が納税申告書の公表を拒否しているためだ。

ワシントンポストの分析よると、トランプ氏とトランプコイン事業関係者らは、4月にコンテスト企画が発表されて以来、取引手数料で300万ドルを稼いでいる。1月17日以降では手数料で4300万ドル、コイン販売で3億1200万ドルになる。

一方、アメリカ合衆国憲法は、大統領が給与以外の報酬を受け取ることを禁じている。

ブルーメンタール上院議員は、トランプ氏が大統領任期中に自身が経営するホテルを通じて外国からの資金を受け取っていたとされる問題で、「憲法の報酬条項違反だ」として訴えを起こしたが、「原告資格がない」として棄却された。

ブルーメンタール氏は「前回の任期中は、暗号通貨ほど露骨ではなかった。トランプは明らかに憲法を軽視している」と、権力監視団体アカウンタブルUSのオンライン会議で語った。

外国からの贈与や報酬を禁じる憲法を守ろうとしないトランプ氏の姿勢は、他の問題でも顕著になっている。

トランプ氏は5月に、カタール王室から4億ドル相当のジャンボジェット機を贈り物として受け取る予定であることが明らかになった。

トランプ氏は21日にホワイトハウスで開かれた南アフリカのラマポーザ大統領との会談中、このジェット機について質問した記者を激しく非難した。

また、ラマポーザ大統領が、「我々は飛行機を差し上げることはできない。申し訳ありませんが」と冗談混じりに述べると、トランプ氏は「あればよかったのに。そうすればもらいました」と答えた。



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