“グンマー帝国”“未開の地”…。関東の北西部に位置し、SNSなどを中心に何かと見下されがちだった群馬県。だが、NPO法人「ふるさと回帰支援センター」が今年2月に公表した「2024年移住希望地ランキング」で、群馬県が初の全国1位に輝いたのだ。一体、群馬に何が起きているのだろうか。その快進撃の背景に迫った。
群馬が移住希望地ランキング初の栄冠に
関東の北西部に位置し、人口190万人を抱える群馬県。
草津、伊香保、四万など多くの温泉地を有し、自然に富んだ観光地としても知られているが、都道府県魅力度ランキングでは毎回下位に位置するなど、これまで何かと見下され気味だった群馬県が、ここにきて快進撃を遂げている。
東京・有楽町を拠点に国内最大規模の移住相談窓口を設置しているNPO法人「ふるさと回帰支援センター」が新規移住相談者などを対象におこなった「2024年移住希望地ランキング」で、群馬県が初の全国1位に輝いたのだ。
特に20〜30代の若い世代の相談者が増加し、窓口相談者、セミナー参加者の両方から1位を獲得したのも調査開始以来初めてのこと。さらに4年連続1位だった王者・静岡県を抑えての快挙達成に、山本一太・群馬県知事も思わず記者会見で喜びを爆発させた。
「ついに念願を果たすことができました。知事としてこんなにうれしいことはありません。今回のランキングの結果をもとに、群馬県の関心の高まり、勢いと運気を活かし、引き続き移住促進に努めてまいります」
移住者の本音は…
一体なぜ移住先に群馬を選んだのか。実際に移住した人に話を聞いた。
一昨年、夫と群馬に移住した30代の女性・まりなさん(仮名)は、
「夫とは大学時代のウィンタースポーツのサークルで出会って結婚しました。お互いスノーボードが大好きで、一緒に国内各地の雪山を巡って、夏にはニュージーランドにも滑りに行くほどでした。
国内では都内からアクセスのいい群馬や新潟に滑りに行くことが多かったんですが、行く度にこんな近くに良質な雪山があって羨ましいな〜って思ってたんです」(30代女性、以下同)
まりなさんは新卒から都内の出版社に勤めていたが、コロナ禍をきっかけに働き方や生き方を見直すようになり、3年前に独立。夫とも話し合い、将来の子育て環境なども考慮したうえで、群馬県に移住することに決めた。
「朝は家の前の畑仕事を終えたら、車を40分ぐらい走らせて雪山で昼過ぎまでスノボして、午後は近くの喫茶店で受注した仕事をこなすのがルーティーンです。毎日好きなスノボができるうえ、群馬は家賃も物価もとにかく安いのが魅力です。
畑で自炊もできるし、直売所に行けば旬の野菜が安く手に入る。地元の人からおすそ分けももらえるので、ほとんどお金を使いません。都心からアクセスもいいので、両親や友人に気軽に会いに行けるし、何度か群馬の温泉地にも遊びにきてくれました。今のところ移住して寂しいと感じたことはありませんね」
と充実した様子。群馬の移住ライフを満喫しているようだった。