トランプ米大統領は25日、学校運営や留学生受け入れを巡って対立を深める名門ハーバード大学に対して、「留学生の名前と(出身)国名を教えろ」と要求した。トランプ政権は同大学の留学生受け入れ資格を停止。大学側が訴訟を起こし、留学生の受け入れ停止措置は一時的に差し止められているが、トランプ氏はさらに圧力を強めている。
【写真】トランプ氏がソーシャルメディアに投稿したハーバード大批判
トランプ氏は自身のソーシャルメディアへの投稿で、「ハーバード大は学生のほぼ31%が留学生であるとなぜ公表しないのか。その国の中には、米国と友好的ではない国も含まれている」と投稿した。
ハーバード大はウェブサイトで、年度ごとの留学生の人数や全学生に占める割合(最新では27・2%)を公表している。しかし、トランプ氏は政府が巨額の補助金を拠出してきた以上、留学生の氏名や国名の開示を要求するのは合理的だと主張し、「ハーバード大は情報を開示しようとしていない」と不満を示した。
トランプ政権は、パレスチナ自治区ガザ地区侵攻を続けるイスラエルへの学生らの抗議運動を「反ユダヤ主義」と決めつけ、各大学に対策強化を求めた。
ハーバード大に提示した文書では「米国の価値観や制度に敵対的」とみなした学生や外国人留学生を当局に報告する仕組み作りなどを要請。さらにDEI(多様性、公平性、包摂性)の取り組み中止なども要求した。
だが、ハーバード大は「不当な介入」として政権側の要求に応じていない。政権は26億ドル(約3700億円)以上の補助金などを凍結。22日には「反ユダヤ主義を助長し、中国共産党と協調した」などとして、留学生受け入れ資格の取り消しを決めた。大学の訴えを受けて、東部マサチューセッツ州の連邦裁判所は翌23日、この措置の一時的な差し止めを命じた。【浅川大樹】