老後生活にかかる生活費を懸念する方は多くいるかもしれません。老後生活における生活費を考えるうえで、主な収入源になるのは年金です。
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そこで本記事では、老後生活における支出額や年金について解説します。
老後生活における平均支出額
総務省による家計調査報告を参考に、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と単身無職世帯における平均支出額を表1にまとめました。なお、下記における非消費支出とは、直接税と社会保険料を合わせたものです。
出典:総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
上記の支出額は、あくまでも平均額によるものです。実際の支出額によっては、より少ない費用で生活することも可能でしょう。
老後生活の収入源
老後生活の収入源はさまざまですが、候補の一つは年金です。年金の種類は多種多様であるものの、多くの方は国民年金と厚生年金を受け取れるでしょう。年金は公的年金と私的年金の2種類に大別されますが、国民年金と厚生年金は公的年金に分類されます。
ここからは、国民年金と厚生年金について、平均受給額も含めて解説します。
■国民年金
国民年金は老齢基礎年金とも呼ばれます。加入対象は20歳以上60歳未満で、日本に居住するすべての人です。
受給資格期間が10年以上ある場合に受給できます。受給資格期間とは、保険料を納付していた期間と保険料の納付を免除されていた期間の合計のことです。
厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度における国民年金の平均受給額は月額5万7700円とされています。
国民年金は、毎年の経済状況などに基づいて支給額の満額が設定されます。実際の支給額は、設定された満額と保険料を納付した月数を基に算出されるのです。令和7年度の満額は月額6万9308円であり、令和6年度の6万8000円から1308円上昇しました。
■厚生年金
厚生年金は老齢基礎年金とも呼ばれ、公務員や会社に属する会社員などが加入できる年金制度です。専業主婦(夫)や自営業者などは厚生年金を受け取れません。厚生年金に加入していたことがあり、国民年金の受給資格を有する人が受給できます。
厚生年金の受給額は、標準報酬月額と厚生年金への加入期間を基に算出されます。標準報酬月額とは、4月~6月における基本給や各種手当などの労働に対する報酬の月平均額のことです。
厚生年金の受給額は月収によって変動するため、人によっては受給額に大きな差が生まれることも少なくないでしょう。厚生労働省の上記資料によると、令和5年度における厚生年金の平均受給額は月額で14万7360円とされています。
■国民年金と厚生年金の受給開始時期
国民年金と厚生年金の受給開始時期は原則65歳からです。しかし、60歳から65歳になるまでの間で受給開始時期を繰り上げることも可能です。
繰り上げた場合は、受給を開始する年齢に応じて受給額が減額されます。受給額の総額は減ってしまいますが、生活費が用意できないなどの理由で早期に年金を受け取る必要があるのであれば、検討してみてもいいでしょう。
なお、国民年金と厚生年金の繰り上げ受給は、基本的に同時に請求する必要があります。
反対に、66歳から75歳までの間に繰り下げて受給することも可能です。繰り下げた期間に応じて受給額が増えます。年金の受給時期を遅らせても問題がない場合は、検討してみましょう。なお、繰り上げ受給は国民年金と厚生年金で別々に請求することも可能です。