万博の夜間退場巡り、海外勢が怒りの抗議 BIEの閉場時間延長案に飛びつけぬ運営事情


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■夕方の入場時間繰り上げ

17日、人工島・夢洲(ゆめしま)の万博会場で博覧会国際事務局(BIE)のケルケンツェス事務局長と大阪府の吉村洋文知事らが会談した。「夜の万博」のPRが話題に上り、BIE側は午後10時の閉場時間を1時間延長することなどを提案した。

問題意識は協会などの運営側も共有している。現在、入場予約はおおむね2週間先まで開場直後の午前9~10時台に集中し、空きがない。一方で正午以降の枠は比較的余裕があり、夜間は短時間で入場できる予約不要のパビリオンも増える。

協会が想定する会期中2820万人の来場には1日平均で約15万3千人が必要だが、現時点では届いていない。底上げを狙い、5月7日から夜間券(大人3700円)の入場者を対象にキャンペーンを始め、夕方の入場可能時間を午後5時から同4時に繰り上げた。

■水と光の演出

23日夜は、ソーセージやビールを味わえるドイツ館などに列ができた。噴水と光の演出を組み合わせた水上ショーが開かれたほか、色とりどりに輝く約千基のドローンが上空で幾何学模様などを描き、多くの来場者が大屋根リングの上で撮影を楽しんだ。午後から家族と訪れた大阪府豊中市の女性(40)は「夜はパビリオンがライトアップされ、昼とは違う光景を楽しめた。日差しがなく人気のパビリオンにも並びやすい」と話した。

ただ課題もある。ドローンショーが午後9時すぎに終わると、来場者らは一斉に退場し、東ゲートに近い大阪メトロ中央線夢洲駅が混雑する。

関係者によると、大型連休中の5月4日夜も退場者が東ゲートに集中した。協会はスタッフを含めて人流を制御するため、関係者ゲートを閉鎖したが、帰宅に時間がかかった海外パビリオンの関係者が反発。協会はBIEを通じて抗議を受け、翌日から関係者ゲートの閉鎖を取りやめた。

閉場時間の延長について、協会幹部は退場者の分散につながるとする一方、運営費の増加や帰宅時の交通手段がなくなることを課題に挙げる。



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