「書いて覚える」はもう古い? 頭がいい人の「超合理的な記憶術」


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● 「書いたほうが覚えられる」という親世代の感覚

 鉛筆を舐め舐め書いて覚えた親の世代には、「速く読めたとしても、それだけで記憶として残るとは限らない。書いたほうが覚えやすいはず」と思う人がいるかもしれません。

 その疑問は、もっともだと思います。

● 「1回書く」はたしかに記憶に残りやすい

 たしかに、「1回だけ書く」と「1回だけ読む」を比べたら、「1回だけ書く」ほうが記憶に残りやすいでしょう。

 目で追って文字を黙って「読む」だけではなく、読んだものを自分で「書く」という能動的な作業が加わる分だけ、脳への刺激が増えるからです。

● 「19回読む」は「1回書く」を超える!

 しかし、「読む」は「書く」のおよそ19倍のスピードでできますから、1回「書く」間に19回「読む」ことだって可能なのです。

 では、「1回だけ書く」と「19回読む」では、どちらが記憶として定着しやすいでしょうか?

● 記憶は「繰り返し」で強くなる

 一度覚えたつもりでも、記憶は時間が経つにつれて薄れていきます。

 それを防ぐために、何度も覚え直す必要があることは、みなさんもおわかりですよね。

● 「忘却曲線」が教えてくれること

 ヒトの「長期記憶」に関する優れた研究を行ったドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスは、一度覚えて忘れた情報を再び覚え直すと、次に記憶するのに要する時間を節約できる(覚える時間が短くて済む)という発見をしました。

 それをグラフ化したのが、有名な「エビングハウスの忘却曲線」です(下図参照)。

● 「読む」ことの反復が、記憶の定着を高める

 この「エビングハウスの忘却曲線」からわかるように、たとえ「1回だけ読む」ことによる記憶の定着率が「1回だけ書く」より低かったとしても、何度も繰り返して「読む」うちに、「1回だけ書く」より、記憶の定着率は高められるのです。

 それに「読む」は筆記用具もノートも不要なので、教科書や参考書さえ手元にあればいつでもどこでもできます。

● 「書く」よりも、「読む」は圧倒的にラク!

 「書く」プロセスは手を動かすのでそれなりにしんどく、1日何十回も反復するのは困難です。

 しかし、「読む」ことの労力はそれよりずっと軽いので、反復練習のハードルは低いのです。

 ※本稿は、『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

神田直樹



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