日本の平均年収は460万円。だが実態は平均に届かない人が全体の6割ほどに及ぶ。一方、1千万円を超す高給取りも増えている。参院選が迫り、消費税減税などの議論が活発になる中、根幹となる「日本の給料」を多角的に調べた。
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国税庁の民間給与実態統計調査によると、2023年の日本の平均給与は460万円。1年を通じて働いた給与取得者5076万人の平均値だ。前年比1万9千円増で、ここ数年をみると微増傾向となっている。ただ、25年前の1998年は465万円。長い期間でみると、ほぼ増えていないことがわかる。
「手取りが一向に増えない。10年ほど手取りは変わっていない」(沖縄県・公務員・42歳・女性)
「一生懸命働いても少ないボーナス。気力もやる気も出ないよね」(東京都・パート・アルバイト・60歳・女性)
AERAのアンケートからも給料がなかなか増えない声が届いている。しかも、最近はあらゆるモノやサービスが高くなっており、給料が増えないままだと、日々の暮らしはより苦しくなる。
取材に答えた40代シングルマザーは切実だ。
「小学6年の息子の修学旅行費が今年から4千円上がって、4万円になりました。電車の運賃の値上げが原因だそうです。私たちの頃は2万円もかからなかった記憶です。中学の制服代は8万円だと聞いています。大学進学や仕送りなんて、想像をはるかに超えるお金がかかりますよね。生活費はなんとか賄えていますが、給料が上がらないと、これから先ヤバいです」
平均給与460万円について、女性は言う。
「私からすると、年収300万円以上は『いい方』だと感じますね」
この460万円を給与の額別にみてみると、「平均」と「実態」の差が浮かび上がる。国税庁のデータによると400万円以下は2571万人で全体の5割超。400万円超500万円以下は781万人で、仮にこの半分の390万人が平均の460万円未満だとすると、全体の6割弱が460万円に達していないことになる。