デビュー15周年の松坂桃李「家庭を持ってから考えるようになったこと」。最新作で共演の”大御所俳優”との思い出も聞いた《独自インタビュー》


【写真】デビュー15年、松坂桃李さんの最新撮り下ろしショット6枚

 家族を持ったことで起きた心境の変化や最新作で共演した寺尾聰とのエピソード、今後の目標などを聞いた。

■最新作では寺尾聰の息子役に

 松坂の最新作となる映画『父と僕の終わらない歌』は、アルツハイマーを患った父が、息子に支えられながら80歳で歌手デビューを果たしたイギリスの実話がベースとなっている。小泉徳宏監督が日本版として翻案し、松坂はイラストレーターの息子・雄太を演じた。

 サイモンさんが父との日々を動画に収めた記録。それが多くの人の心を動かした。そのエピソードに触れたとき、松坂の胸には「希望を見つけ出す力」が確かに残った。

 「老いや病は誰にでも訪れる。でも、どう向き合うかで景色は変わる。失われていくものの中に、“失われないもの”を見つけられる――それを音楽として描いた物語でした」

 「この作品を通じて、“その時”が来たときのことを考えるようになりました」

 リアリティを重んじる松坂は、演技においても細心の注意を払った。

 見る人が心にひっかかることがないように。役を通して語るからこそ、そこに宿る責任の重さを、彼は静かに受け止めていた。

 演じた雄太は、自分の“あり方”を父に打ち明けた経験を持ちながら、なお心の整理がついていない人物だ。その揺れをどう表現するか、松坂は何度も自身に問いかけた。

 ビジュアルにも特徴がある役だった。職業はイラストレーター。外見には自由さがあるが、内面には揺れがある。

 「まず、その人がどんな気持ちでそこに立っているかを考えるんです。最初に登場するページ、その時の感情を逆算して、衣装や髪型のニュアンスを決めていきました」

 父との関係性、仕事への姿勢、そして時間の経過。雄太の“今”がどんな過去から形作られているか――その全部が外見ににじむように、監督やスタッフと何度も話し合いを重ねた。



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