「海外では、旧姓はニックネーム扱いだ」。口座停止寸前、アポ場所に入れない…引きずる不都合 選択的夫婦別姓が実現し、日本人が世界で自由に活躍できる時代はまだ?


【グラフ】夫婦別姓が進まない不都合な真実 「日本が滅びる」反対派が唱える驚きの理屈

 世界最大級のビジネス特化型SNS「リンクトイン」。アメリカをはじめ世界中で10億人以上が自身のプロフィルや実績を登録し、人脈づくりや情報交換、転職活動に利用している。ワシントンのシンクタンクに在籍する日本人女性はある日、リンクトインが推奨する方法では、自身の「本人確認」をできないことに気がついた。本人確認には政府が発行する身分証明書(ID)が必要で、海外では旧姓によるID取得が非常に難しいためだ。女性は仕事では旧姓を使用しているが、アメリカで就労に必要な社会保障番号(SSN)や代表的なIDである運転免許証は戸籍姓でしかつくれない。

 女性は「海外では旧姓は単なるニックネーム扱いだ」と指摘する。ビジネス関係者や政府関係者、研究者らが集まる大規模イベントでは政府発行のIDを見せないと会場に入れないと事前説明があり、万が一入場できないリスクを恐れ、もやもやする気持ちを抱えながら戸籍姓で参加登録した。「仕事を続ける限り、ずっとこの問題がまとわりつくんでしょうか。女性だけではなく、妻の姓に変えた男性も困っているはずです」
▽詐欺を疑われ銀行口座が停止寸前

 海外での仕事で旧姓を使う人の苦労話は枚挙にいとまがない。旧姓では仕事を続けられないのではないかとの不安や、虚偽の申請をした訳でもないのに不審な目で見られる屈辱を表現するのは難しい。

 筆者は2023年8月、ワシントンに赴任した。渡米の際、パスポートを旧姓併記に変更。Iビザと呼ばれるジャーナリスト用のビザにも「Also Known As(~としても知られる)」とただし書きを付けて旧姓を入れてもらった。それでも一歩海外に出ると「旧姓」には法的効力がないと何度も思い知らされた。



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