VTuberユニット・ChroNoiRの公式YouTube番組『くろのわーるがなんかやる』(通称『くろなん』)初のリアルイベントが、2025年5月29日(月)に日本武道館で開催された。ライター・エッセイストの生湯葉シホが、本公演を観て驚いたことを綴る。
「広いよ、今日」普段どおりのかけ合いからスタート
いまだかつて、これほど肩肘張らずに武道館でのリアルイベントをやり遂げたユニットがいただろうか。およそ2時間にわたる『くろなん』を現地で見届けたあと、最初に思ったのはそんなことだった。
2018年の結成以降、音楽活動やゲーム配信を中心にユニットとしての活動の幅を広げてきたChroNoiR。
2022年にYouTubeでスタートした『くろなん』は、“張り切らない・無理しない・頑張らない“を3箇条として掲げる、ゆるっとした空気が魅力の公式冠番組だ。
『くろのわーるが武道館でなんかやる』の舞台はそのタイトルどおり日本武道館だが、武道館でのイベント開催はにじさんじ史上初だという。
開演と同時に会場の照明が点くと、舞台上にはすでに横並びに座る叶と葛葉が。広い部屋の中にはふたりの座る椅子と長机以外、何の小道具も置かれていない。
叶が第一声で「広いよ、今日」とぼそりとつぶやくと、葛葉が「武道館なのにこの空間なんだ」と小声で返す。あまりに普段どおりの『くろなん』の光景を前に、客席からはどよめきが起こった。
ゆるやかな空気のまま、今回のイベントの目玉である企画コーナーに入っていく。ボイスチェンジャーを使ってしゃべっているライバーの正体を当てる生通話企画では、声やしゃべり方に特徴のあるゲストが続き、その“バレバレさ”ゆえにかえって大盛り上がりとなる事態に。
中でもふたり目のゲストのルンルンが正体を明かした際には、会場のあちこちから溜め息のように「かわいい……!」という声が上がっていた。
ゲスト出演が決まったときの感想を聞かれたルンルンが「感極まれりといったところでございました」と答えると、客席からはどっと笑いが漏れた。
ゲスト出演者のSHAKAとk4senのポストを叶と葛葉が“代行”し、1時間でポストをよりバズらせたほうが勝者となる「生ポスト代行」企画では、葛葉が考えた「10万いいねでりりむちゃんのコスプレします」というk4senのポストがモニターに映し出された瞬間、会場から割れんばかりの歓声が上がった(呆然と頭を抱えていたk4senだったが、イベント終了時点で13万いいねという驚異的な数字を叩き出し、幸か不幸か勝者となってしまう)。