大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が誘拐され、栃木県小山(おやま)市で保護された事件で、同市の自称派遣社員、伊藤仁士(ひとし)容疑者(35)=未成年者誘拐と監禁容疑で送検=が女児に対し、「(女児の)リュックサックや靴を捨てる」などと話していたことが26日、捜査関係者への取材で分かった。容疑者宅の捜索でリュックなどは見つかっておらず、大阪府警は、女児が逃げないよう伊藤容疑者が所持品の一部を処分した疑いがあるとみて調べている。
府警によると、女児は17日午前、スマートフォンや灰色のリュックを持って自宅を出て、近くの公園で伊藤容疑者と合流。電車を乗り継ぎ、小山市の容疑者宅に行った。
捜査関係者によると、女児は伊藤容疑者にスマホを取り上げられ、通話に必要な「SIMカード」を抜かれた。さらに、靴を取り上げられ、リュックなども捨てると言われたという。
女児は23日に伊藤容疑者宅を逃げ出し、近くの交番で保護されたが、靴は履いておらず、リュックも持っていなかった。府警は逮捕後に伊藤容疑者宅を家宅捜索し、女児のスマホや財布など一部の所持品を発見したが、リュックや靴は見つからなかった。
伊藤容疑者が女児の所持品を処分することで、「逃げられない」という心理的な圧力をかけようとした疑いもあり、府警は詳しい監禁の状況を調べている。