みなさんは、自転車を運転しているときに、左折しようとする車が目の前まで幅寄せをしてきて、危ないと感じたことはありませんか?
左折時に車が車道の左側に寄る「ビタ寄せ運転」について、イーデザイン損保が調査したところ、自転車利用者の約8割が「危険。迷惑だと感じた」と回答しています。
SNS上でも「左折巻き込みしないように」「理由はどうあれ、危険を感じさせるのでは、意味がない」など、さまざまな意見が飛び交っている車のビタ寄せ。
法律ではどのように定められているのでしょうか。山本明生弁護士に聞きました。
●ビタ寄せの必要性は法律で定められている
──左折する際の幅寄せは法律に定められていますか?
道路交通法34条1項には「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」と規定されていますので、左折する際の幅寄せは必要となります。
幅寄せの理由は、主として二輪車や自転車の追い抜き防止や巻き込み防止であると言われています。
──左側や後方にいる場合も、幅寄せしなければいけないのでしょうか?
左側や後方に自転車がいる場合であっても、左折時の幅寄せの必要性は認められます。ただし、安全を確認したうえでしなければならないことは言うまでもありません。 自転車の距離や速度から、幅寄せすることが危険と判断した場合には、自転車を先に行かせるなどの対応を取ったうえで幅寄せをすることが必要でしょう。
●自転車専用帯があっても進入しての幅寄せが必要
──自転車専用帯がある場合はどこまで寄せればいいですか?
自転車専用帯が設置されている場合でも、その道路の左端、つまり自転車専用帯に進入しての幅寄せが必要となります。
先ほど述べた道交法34条1項にある「道路の左側端」とは、文字通りその道路の左側端であって、自転車専用帯と車道の間に黄色の実線があるなど、道路標示などによって車両の進入が禁止されているといった事情がない以上、自転車専用帯に入っての幅寄せが必要となるからです。
──直進しようとする自転車との優先順位について教えてください。
直進しようとする自転車が優先されるのが原則と言えます。
ですが、優先するからといって、危険な運転をしていいわけではありません。
事故に遭ったとなれば、元も子もありませんので、自転車側も危険回避を十分に意識すべきでしょう。