ロシアのプーチン大統領と27回の首脳会談を重ねた安倍晋三元首相の妻、昭恵氏が5月29日にモスクワでプーチン氏と面会したことに対し、ロシアの当局者やメディアから様々な反応が出ている。訪問の背景に何があったのか。
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「主人(晋三氏)が亡くなったときに温かいメッセージをいただいたり、今まで何度もお会いしていただいて、日ロ関係のいい状況を作るために尽力していただいたことにお礼を申し上げたくて来た」。ロシア国営テレビによると、昭恵氏は面会でこう語った。
タス通信は同30日、晋三氏の秘書官を務めていた今井尚哉氏のインタビューを東京発で報じた。それによると、晋三氏が2022年7月に銃撃されて死亡した後、プーチン氏は昭恵氏にお悔やみのメッセージを送っていた。同年2月にウクライナ侵攻を始めたロシアに日本が経済制裁を科し、外交関係が冷え込んでいたことから、外交ルートでなく「私的なルート」を使ったという。
昭恵氏はこれまでも、生前の晋三氏と親交があったトランプ米大統領やインドのモディ首相と面会している。プーチン氏との面会を希望していた昭恵氏と、米欧から厳しい経済制裁を受ける中でロシアが孤立していないことを見せたいプーチン氏の意向が一致したとみることもできる。
朝日新聞社