経営立て直しを目指す日産自動車が横浜・みなとみらいの本社ビル売却を検討している。報道では、本社ビルの売却額は1000億円規模とされるが、実際はどれほど見込めるのか。不動産利回りなどをもとに独自に試算した。
【写真】日産が閉鎖を検討している追浜工場。東京ディズニーリゾート(約200万㎡)に匹敵する170万㎡を、誰がどう再開発するか?
(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)
■ 窮地の日産が打つ本社売却の一手、その効果は?
日産自動車が大揺れだ。先日発表された2025年3月期決算では、最終赤字が6709億円と中間決算時点での通期800億円の赤字予測よりも大幅に悪化、2003年3月期の最終赤字6843億円に迫る厳しい内容となった。
発表の中には今後のリストラ策として、全従業員の15%に相当する2万人をリストラ、世界で稼働している工場17か所のうち7か所を閉鎖することも含まれていて、固定費および変動費で約5000億円の削減を目指すという。
同時に横浜にある日産自動車グローバル本社の売却も検討するとしている。
報道では、閉鎖する工場に、日産の主力工場である神奈川県横須賀市にある追浜工場や、子会社である日産車体の本社がある神奈川県平塚市の湘南工場が含まれているとされる。
衝撃が走ったのが神奈川県だ。いずれも県内にある2つの大型工場が閉鎖、横浜みなとみらい地区にある本社ビルが売却される。本社機能は残るものの工場の閉鎖が県財政に与える影響は甚大だ。
黒岩知事は工場売却について何とか思いとどまれないかとの声明まで発表しているが、ホンダとの統合が幻に終わった現在、日産自動車にとってはもはや「背に腹は代えられない」事態に陥っていることは明白だ。
さて、今回日産が発表した本社ビルの売却と、閉鎖される工場も将来的には売却するとなれば、どの程度の価値があるか考えてみたい。
まずは横浜市のみなとみらい21地区の66街区にある日産自動車グローバル本社がどの程度の資産価値があるか試算してみよう。本社ビルの敷地は10,000.14m2
(3,025坪)、建物延床面積92,102.89m2
(27,861坪)だ。