湿度が高く不快な日も多い梅雨の季節。“なおみん”としてSNSでも人気の漢方アドバイザー・久保奈穂実さんに、東洋医学の観点からこの時期におすすめの過ごし方と、薬膳のレシピを聞きました(本記事は、久保さんの著書『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』より一部を抜粋、再編集したものです)。
【画像】私たちの身の回りにある「陰と陽」の関係をわかりやすく示した表
■「養生」ってなんですか?
<病気を未然に防ぐ>
養生というと、引っ越しのときに使う「養生テープ」を思い浮かべる人も多いかもしれませんね。
養生テープは、家や家具などに傷がつかないようにあらかじめ貼っておくものです。これと同じで、養生とは心身が元気な状態を保つために、あらかじめ生活習慣に気をつけること。
西洋医学では、病院に行って病名がついたら治療をしますが、中医学では、病気になる前の「未病」の段階で体を整えて病気を未然に防ぐという考えがベースにあります。
たとえば体のどこかに不調があると、髪がパサついたり、爪が割れたり、舌に白い舌苔(ぜったい)がべったり付いたりなどと、気になる変化が現れます。これは実は、体からの重要なサイン。これらを見逃さずに心身の状態を整えて、未然に病気を防ぐのが養生です。
<旧暦にそった生活>
また、次の季節で元気に過ごせるように、前もってケアをしておくのも養生の基本。
そのため実際の季節より少し前倒しの旧暦の暦に則って、立春を1年の始まりとして2〜4月を春、5〜7月を夏(一部は梅雨)、8〜10月を秋、11〜1月を冬として養生をします。早め早めに対処することで、季節の変化に対応して、元気で過ごせるのです。
<食事で養生>
養生の具体的な方法は、食事や運動、睡眠、感情のコントロール、生活習慣などですが、どれも簡単にできることばかり。
特に私が大切にしているのは食事です。中医学では、すべての食べ物に効能があるとされていて、自分の今の体の状態にあった食べ物を取り入れて健康を保つことを「食養生」と言います。
また、自分の不調に合った食べ物を取り入れて症状を改善するのが「薬膳」です。ただし、頑張りすぎて、負担になってしまっては本末転倒。自分が心地よくできることを、ゆる〜く取り入れていけばそれでOK。それが養生の一番、大事なポイントです。