健康で生産的な毎日を送るため、“昼寝”の効果に注目が集まっている。企業だけでなく学校でも仮眠スペースを用意するなど取り組みが広がり、寝不足に悩む小学生らにも好評だ。だが睡眠の専門家は、「昼寝の時間を取るよりも始業時間を遅くすべきだ」と警鐘を鳴らす。“早寝早起き”が、子どもにとって酷である理由とは。
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「睡眠時間が8時間半を切ると、昔は風邪をひいちゃってた。今は6時間半でも大丈夫だけど、昼間ぼーっとしちゃうな」
「お母さんが夜中の12時ごろに寝るから、そのあと2時までゲームをする日もあった。友達に驚かれたし、今はしていないけど!」
睡眠事情について教えてくれたのは、私立さとえ学園小学校(さいたま市)の5年生たち。休み時間に9人が集まり、取材に応じてくれた。
児童らは昨年度、データを集めて分析・活用する授業の一環として、自分自身の睡眠と向き合う「スリープテックプロジェクト」に取り組んだ。約半年間にわたるプロジェクト期間中は、専用のデバイスとアプリを使い、睡眠時間、眠りの深さ、寝ている時の体勢などを計測。良質な睡眠かどうかは100点満点のスコアで表示され、高得点を目指して試行錯誤を繰り返したという。
このプロジェクトには、睡眠に関する商品を扱う企業各社が協力した。
「いつも目が疲れやすいけど、ブルーライトをカットするメガネ(JINS提供)を寝る前にかけたら睡眠の質が上がった」
「深く眠れないのが悩みだったけど、グァー豆からできたサプリ(太陽化学提供)を飲んだらよく寝られた」
などと、子どもたちからは提供商品の効果を実感する声があがった。なかでも好評だったのが昼寝だ。Yogibo提供のビーズソファや、広葉樹合板提供の立ったまま寝られる仮眠ボックス「giraffenap」が校内に設置され、希望する児童は昼食後に10分前後の昼寝をした。その効果について、実際に体験した石井人志さんはこう話す。