<ひふみんEYE>
<ヒューリック杯第96期棋聖戦5番勝負>◇第1局◇栃木県日光市「日光金谷ホテル」
【写真】6連覇を目指して杉本和陽六段の挑戦を受ける藤井聡太棋聖
午前9時から始まった対局は、午後7時15分、144手で後手藤井聡太棋聖(22)が超難解な玉頭戦の寄せ合いを制し、タイトル戦初登場の杉本和陽(かずお)六段(33)に先勝。6連覇へ好発進した。第2局は18日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われる。
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見どころたっぷりの玉頭戦でした。藤井棋聖が振り飛車対策として採用した穴熊が、物を言いました。それと中盤、7筋に浮かした飛車。杉本陣の角をにらみつつ、最後には横にも通しています。しばらく盤上で鳴りをひそめていた飛車まで働かせて、開幕勝利に貢献しました。
飛車角の大砲2門が機能した藤井棋聖に対し、杉本六段の飛車角は機能していません。いわば「2枚落ち」の状態。この差がそっくり大局観の差でしょう。終盤、藤井陣に迫りましたが、5筋に角が成った瞬間、付け入る隙を与えてしまいました。
こうなったら、藤井棋聖はチャンスは逃しません。勝負どころでのギアの上げ方は分かっています。間違えません。そんな終盤力を見ました。
タイトル初挑戦の杉本六段は、1手緩んだだけ。振り飛車党らしく力ずくな面と粘りを見せ、うまく立ち回っていました。タイトル戦に出てくるのにふさわしい実力の持ち主とみました。