高市早苗新首相の「初仕事」に賛否両論──深夜3時の官邸X投稿が「馬車馬」議論を再燃

10月21日の指名選挙で新首相に選出された高市早苗氏の「初仕事」が、就任早々、大きな物議を醸しています。同日中に発足した新内閣の顔ぶれも注目される中、高市首相が打ち出した労働時間規制の緩和検討指示は、早くも社会全体で活発な議論を巻き起こし、特に首相官邸のある行動が国民の関心を集めています。

新首相に就任し、労働時間規制緩和を指示する高市早苗氏の肖像新首相に就任し、労働時間規制緩和を指示する高市早苗氏の肖像

労働時間規制緩和の背景と内容

高市首相は10月21日の就任直後、上野賢一郎厚生労働相に対し、労働時間規制の緩和を検討するよう指示しました。この指示は、あくまで心身の健康維持と本人の働く意思を前提とし、近年深刻化する人手不足の解消や最低賃金の引き上げと並行して進める方針が示されています。多様な働き方が求められる現代社会において、兼業・副業の促進もまた、この政策の重要な狙いの一つとされています。

現在の日本の労働法規制では、雇用主は従業員に対し、原則として1日8時間、週40時間を超えて労働させることはできません。また、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を義務付ける規則も存在します。これらの規則は、従業員の健康保護とワークライフバランスの実現を目的としていますが、一方で、収入の減少、モチベーションの低下、業務負荷の偏りといった問題点も指摘されており、ここ数年にわたり活発な議論が交わされてきた経緯があります。

高市首相は、自民党総裁就任時に「馬車馬のように働いていただく」「私自身もワークライフバランスという言葉を捨てる」とスピーチしており、これは自身と自民党議員に対し国民に尽くすという強い決意表明でした。しかし、この発言に対しては「過労死弁護団全国連絡会議」が発言の撤回を要請するなど、当時から賛否を呼ぶ事態となっていました。

野党からの批判と官邸の深夜X投稿

高市首相による労働時間規制緩和の動きに対し、野党からは早速、厳しい反対意見が表明されています。日本共産党の志位和夫氏は、自身のX(旧ツイッター)で「過労死が大問題の日本で、『労働時間の規制緩和』という最悪の時代逆行を指示するとは。『ワークライフバランスという言葉を捨てる』ことを国民に強要するな」と強く批判しました。また、同党の山添拓氏も「『働きたい改革』などと掲げた自民党の、『ワークライフバランスという言葉を捨てる』と述べた首相による危険な動き」と投稿し、懸念を表明しています。

しかしながら、前述の労働時間規制が抱える問題点を踏まえ、規制緩和を求める声があるのもまた事実です。こうした議論が続く中、首相官邸のある「働き方」が思わぬ形で注目を集めることとなりました。

高市首相が就任した翌日の10月22日午前3時29分、首相官邸の公式Xアカウントが更新されたのです。投稿内容は新内閣の決意表明のようなものでしたが、深夜の真っ只中での投稿に対し、官邸アカウントの「中の人」の過重労働を危惧する声がインターネット上で殺到しました。

ネットユーザーからは「深夜3時にする必要ある?首相官邸の人のワークライフバランスは?」「何時まで働いているんですか…まさに馬車馬のように働かされている証拠」「働いて働いて働いての結果が、午前3時半のスローガンのポスト」「馬車馬内閣…ちゃんと寝るのも仕事ですよ!」といった声が寄せられています。

SNSが世界中どこからでも更新可能であるという特性上、担当者が海外に赴いていた可能性も考えられます。いずれにせよ、労働時間規制の緩和に関する議論は、今後も社会各方面で継続されることとなるでしょう。


参考文献:

  • Yahoo!ニュース. (2023年10月22日). 高市早苗新首相の“初仕事”が物議「深夜3時の衝撃投稿」で、官邸中の人まで「馬車馬」に. JPRIME掲載.
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