トランプ米大統領の側近として政府効率化省(DOGE)を率いてきた実業家のイーロン・マスク氏は3日、X(ツイッター)でトランプ氏肝煎りの大型減税を含む法案について「我慢の限界だ。ひどく醜悪だ」などと酷評した。DOGEで連邦政府の予算や人員の大幅削減を主導したマスク氏は、これまでも法案が財政悪化を招くと懸念を示していた。今回の投稿で批判のトーンを上げた形で、トランプ氏との溝が鮮明になっている。
マスク氏はXで、法案は連邦議員による地元選挙区への利益誘導であり、下院で賛成した議員たちに「恥を知れ」と怒りを爆発させた。5月27日の米メディアのインタビューでは、法案が「DOGEの仕事を台無しにする巨額の歳出法案に失望した」と発言。一方で、30日の自身の政権離脱に関する記者会見では今後もトランプ氏のアドバイザー役を務める考えも強調していた。
法案には1次政権で始めた「トランプ減税」の恒久化やサービス業の従業員へのチップや残業代の非課税化など2024年大統領選で掲げた公約が多数盛り込まれている。一方、財政悪化を招くなどとして共和党内でも異論が出ている。
下院では5月22日に賛成215、反対214の僅差で辛うじて通過。トランプ氏は独立記念日の7月4日までの成立を目指して上院に法案を速やかに可決させるよう圧力を強めている。
ホワイトハウスのレビット報道官は今月3日の会見で「大統領はイーロン・マスクの法案に対する態度は分かっている。大統領が意見を変えることはない」と述べるにとどめた。【ワシントン金寿英】