サヘル・ローズ氏発言巡り畠山澄子氏が憤慨 サンデーモーニングで外国人政策を議論

TBS系「サンデーモーニング」(日曜午前8時)が13日に放送され、ピースボート共同代表の畠山澄子氏が出演した。番組が参院選の争点となっている外国人政策を特集する中で、畠山氏は、先週の放送でイラン出身のタレント、サヘル・ローズ氏(39)が行った外国人政策に関する発言に対し、心ない声が寄せられている現状への強い憤りをあらわにした。番組では、各党の訴えとともに「日本人ファースト」とのキャッチコピーが広がっている様子や、人権団体が排外主義の危険を訴えること、さらには人手不足の中で外国人労働者によって機能している飲食業や建設業の現場の声などが伝えられていた。

サヘル・ローズ氏へのネット攻撃に畠山氏が義憤

コメントを求められた畠山氏は、自らローズ氏の前週の発言に触れ、「そうしたら、それがかなり拡大解釈されるような形でネットで拡散されて、それを受けてサヘルさんが、『誤解をさせてすみません』と投稿をする事態になっている」と現状を説明した。そして「でも率直に、申し訳ないわけですよ。何で、外国人とか外国ルーツの人がただ発言するだけで攻撃されて、さらに萎縮して居心地が悪いという思いをしなければいけないのか、と本当に思うわけですよね」と声を震わせ、排外主義的な風潮への強い危機感を訴えた。

「多文化共生」は当たり前、想像力の必要性を強調

続けて畠山氏は、「多文化共生というのは、私たちの当たり前の今なわけじゃないですか。それなのに、日本人であるかどうか、その一点だけを殊更に強調するような、そんな言葉が街中にもネットにもあふれている」と現状を批判。「これを外国人外国ルーツの人がどう思うのか、という想像力を持つところからだと思うんですよね」と、他者への想像力を持つことの重要性を提言した。さらに、「やっぱり今、SNSで静かに、そういうことに対抗していきたい、という声が広がっています。私も、共に暮らす日本人として、差別のない社会を作る責任を持つ1人だと、強く思っています」と述べ、外国ルーツを持つ人々と共に日本社会を構成する一員としての自身の役割を強調した。

サヘル・ローズ氏が前週番組で語った懸念

ローズ氏は前週の同番組で、参院選が政権選択選挙である状況を念頭に「悲しいな、と思うのは、今、それぞれの党が戦ってはいるとは思うんですけども、そこの議題の中に外国籍の方への発言だったりとか、移民問題というのもあると思うんですけど」と問題提起した。続けて「でもそれって、私たち外国人は選挙権を持ってないので、そのことに対して投じたかったりとか…」と、選挙権を持たない自身の立場から発言が困難であることを説明した。そして「決して外国の人がすごく優遇されているわけでも、日本の方だって今、優遇されているわけではない中で、自分たちに選挙権がない、発言できる権利がない人たちを、そこで(話題に)あげて、攻撃するのは違うんじゃないかな、というのは、すごく心苦しく、今見ています」と、投票権を持たない人々への攻撃に対する深い悲しみ懸念を表明していた。

外国人政策に関する議論で注目を集めるタレント、サヘル・ローズ氏外国人政策に関する議論で注目を集めるタレント、サヘル・ローズ氏

SNSでの釈明:真意は「共に生きる想像力を」

放送後、ローズ氏はX(旧Twitter)に長文の投稿を行った。「わたしの日本語がうまくなく、ちゃんと伝わらず不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」と丁寧に謝罪しつつ、「ただ、正しく思いを伝えたくて書かせていただきます」と書き出した。彼女は「私は『選挙権をください』とは言っていません。ただ、まっとうに働き、納税し、地域の一員として生きている外国籍の人々が、政治的な言説の中でひとくくりに語られ、『まるで全員が悪者のように扱われている』ことに、悲しみと不安を覚えました」と、自身の発言の背景にある外国籍住民が直面する困難と感情を説明した。さらに「もちろん、ルールを守らない人もいます。でも、すべての外国人がそうであるかのように語られるのは、あまりにも乱暴です」と、安易な一般化を批判した。彼女は最後に、「私が伝えたかったのは、攻撃や排除ではなく、『共に生きている人がいることを、少しでも想像してもらいたい』という願いでした」と自身の真意を改めて強調し、日本への強い愛着も同時に表明した。

この一連の報道と反応は、参院選を前に外国人政策が議論される中で、その議論が当事者である外国籍外国ルーツを持つ人々の感情や生活にどのような影響を与え得るのかを改めて浮き彫りにした。畠山氏が示した義憤、そしてサヘル・ローズ氏が投稿で訴えた心苦しさ真意は、多文化共生社会が進む日本において、言葉が持つ影響力と、互いへの想像力、そして共に生きることの意味を深く考えさせるものと言えるだろう。

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