和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す和歌山県は26日、国の区域認定を得られた場合、建設予定地を約77億円で買い取り、同額でIR事業者に売却すると発表した。土地価格の変動を防ぐことで、IRのスムーズな開業を後押しする狙いがある。12月3日開会の12月定例議会に関連予算案を提出する。
建設予定地は20.5ヘクタールで、現在は民間会社が所有している。国のスケジュールでは、来年1月に国が公表する基本方針に基づき、誘致を目指す都道府県が実施方針を策定。事業者を公募で決め、区域整備計画を作成する。国の区域認定を得られた全国最大3カ所で開業となる。
県によると、民間同士で土地取引をする場合、事業者ごとに価格が変動する可能性があるうえ、信用調査の手間がかかる。県がいったん土地を所有することで、IR事業者側のこうした負担を軽減できる。
土地購入はあくまで国の区域認定が得られた場合のみ行う。12月県議会では、予算上限枠をあらかじめ決めておく「債務負担行為」として約76億8600万円を設定する補正予算案を提出。議案が可決されれば、県と管理会社で仮契約を結ぶ。県の担当者は「公平・公正な業者選定の観点から必要な手続き」としている。