中学受験において重要な「塾選び」。「家から近所」「レベルが高い」といった親に都合の良い理由で選ぶのはNGだという。これまで3000人以上を指導し、中学受験専門塾「伸学会」で代表を務める菊池洋匡氏が、塾の候補を絞り込む方法を伝授する。※本稿は、菊池洋匡『中学受験 親がやるべきサポート大全』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
● 中学受験における最初の関門 「塾選び」で考慮すべきなのは?
ご存じのように、世の中には塾がたくさんあります。東京都には、大手から中小まで合わせて、なんと5000軒近くの塾があるそうです。お隣の神奈川県にも、4000軒以上の塾があります。
これだけあれば、きっとあなたのお子さんに合う塾もどこかにあるはず…とはいえ、片っ端から体験授業を受けて試すというわけにもいきませんよね。
候補を絞り込むためのポイントをお話しするので参考にしてみてください。塾選びのポイントは2つ「学力の観点」「性格の観点」です。
塾を選ぶときに、わが子の学力に合うかどうかは、なんだかんだいって大事なポイントです。
・その塾の上位20%に入れる力があったらプラス1ポイント
・その塾の下位20%に入ってしまうようだったらマイナス1ポイント
・その塾の真ん中あたりだったらプラスマイナス0
と思って、その塾がわが子に合う度合を評価しましょう。上位20%というのは、だいたいその塾の模試で偏差値58くらいの成績です。
塾の模試は、塾ごとにさまざまで「入室テスト」「公開組み分けテスト」「公開模試」など名称もいろいろですが、そういった各塾が主催する模試を受ければ、その塾の中でのお子さんの位置づけがだいたいわかります。
もし、1学年が何クラスもあるような大手塾に子どもを入れようと思うのであれば、この「上位20%(偏差値58)」がクリアできると安心です。なぜなら、塾はそのレベルの生徒をターゲットにカリキュラムを作るからです。
大手の塾はどこも自塾で教材を作成し、独自のカリキュラムで授業をしています。合格実績をより出すため、カリキュラムの改善も日々行っています。そう、カリキュラムは「合格実績を出す子たちのため」に作られるのです。
だから、あなたの子どもが上位20%に入れる力があるのであれば、塾は子どものためにベストなカリキュラムを作ってくれます。きっと気持ちよく勉強し、能力を伸ばしていくでしょう。逆に、もし成績がその塾の中で中位であれば、できる子に合わせた速いスピードで進むカリキュラムに追いつくのがけっこう大変になってきます。
下位のほうの成績になってしまうと、現実的にいって「頑張っても、とても追いつけない」という状態が続いてしまう場合が多いので、苦しい数年間を過ごすことになります。
ですから、例えばあなたの子どもが、SAPIXであともう少しでαに入れる成績、具体的にはSAPIX自由が丘校でいうところのPかQあたりのクラスであれば、早稲田アカデミーや日能研で成績優秀者になるほうが、自分に合ったペースで快適に勉強できるということです。
中小塾だと、教材やテストを自社では作成しておらず、大手の作った教材を使用しているところが多いです。ですから、その塾の中で上位・下位ということではなく、その塾の採用している教材やカリキュラムに準拠した模試で、どれくらい成績が取れているかを見て、カリキュラムの速さが合っているかを確認してください。