最近、X(旧Twitter)上で大きな反響を呼んでいる漫画が、育児休業中の夫の無関心と、それに伴う子供の悲劇を描き出し、現代社会における父親の育児参加というデリケートな問題に改めて光を当てています。この作品は「家事しないと死ぬ旦那さん」氏が投稿した『旦那が育休使ってスポーツジム行ってムキムキになりました』(投稿時タイトル『旦那が育休使ってスポーツジム行ったせいで娘が指を切断することになった』)で、特に育児中の夫婦や、これから育児を迎える層からの注目を集めています。
育休取得も育児に非協力的な夫
物語の主人公である妻は、待望の子供が生まれ、育児休業を取得した頼りになるはずの夫に期待を寄せます。しかし、現実は想像とはかけ離れたものでした。夫は妻が家事に追われる中、ソファでスマートフォンを眺めるばかり。赤ちゃんの泣き声も無視し、さらには育休中であるにも関わらず、頻繁に友人と遊びに出かけるなど、育児や家事への協力姿勢は皆無でした。妻の心には次第に不満と疲弊が募っていきます。
妻のリフレッシュ中に起きた悲劇
夫の非協力的な態度に我慢の限界を迎えた妻は、夫に一日だけの自由な時間を求めます。美容室やエステに行き、心身ともにリフレッシュして帰宅した妻が目にしたのは、信じがたい光景でした。家中に響く赤ちゃんの激しい泣き声。慌てて部屋に入ると、夫の姿はなく、倒れた折り畳み踏み台の傍らで血を流す赤ちゃんの姿がありました。なんと、赤ちゃんの人差し指が切断されていたのです。
育児休業中の夫が目を離した隙に子供が指を切断した場面を描いた漫画のワンシーン。母親が悲劇に直面する様子。
緊急で救急車を呼び、病院へ駆け込む妻。赤ちゃんの指が無事に繋がるのか、そしてその場にいなかった夫は一体どこへ行ったのか。物語は読者に強い衝撃を与え、「なんのための育休だ」「育児ができないなら働いた方がいい」といった厳しい声が寄せられました。
作者が語る創作のきっかけと反響
作者である「家事しないと死ぬ旦那さん」氏は、本作を創作したきっかけについて、知り合いのお父さんが子供から少し目を離した隙に大怪我をさせてしまった実体験が元になっていると語っています。漫画を通じて、子供から目を離してはいけないという注意喚起と教訓を伝えたいという意図があったそうです。
Xでの大きな反響については、「想像以上に多くの反響をいただき、正直とても驚きました」とコメント。多くの読者が「子供に目を離してはいけない」という教訓を受け取ってくれたことが一番の成果だと感じているようです。
今後の見どころについては、現在無料で公開されている作品の続きで、最終的に夫が自身の行動の報いを受けるスッキリする展開が待っていることを示唆しており、育児に真剣に向き合わない夫への痛烈なメッセージが込められていることを強調しています。
漫画が映し出す社会問題
本作は、育児や家事に非協力的な夫、さらにはモラルハラスメントやドメスティックバイオレンスといった問題をテーマにした作者の他の作品群とも共通する視点を持っています。これらの着想は、作者自身の過去の恋愛トラブルでの経験や、同様の体験を持つフォロワーからの声なども参考にしているとのこと。
この漫画がこれほどまでに反響を呼んだ背景には、単なるフィクションとして片付けられない、多くの家庭が抱えるリアルな問題があると言えるでしょう。男性の育児休業取得は進みつつありますが、その質が問われる時代となっています。育休を取得しても育児の主担当を妻に任せきりにしたり、当事者意識を持たなかったりするケースは少なくありません。これはワンオペ育児を助長し、夫婦間の軋轢を生むだけでなく、今回の漫画で描かれたような子供の安全に関わる重大な問題に繋がる可能性も孕んでいます。
まとめ
『育休中の夫が育児使ってスポーツジム行ってムキムキになりました』は、その衝撃的なストーリーを通じて、育児における夫婦間の協力の重要性、父親の主体的な育児参加の必要性、そして子供の安全確保がいかに大切であるかを強く訴えかけています。この漫画が多くの読者にとって、自身の家庭での育児のあり方や、パートナーとの関係性を見つめ直すきっかけとなることが期待されます。