ガザ地区で栄養失調が深刻化、生後5カ月女児の死が示す人道危機

パレスチナ自治区ガザ地区において、人道状況の悪化が極まる中、生後5カ月の女児が重度の栄養失調により死亡しました。この悲劇は、ガザでの飢餓の深刻化を示す新たな犠牲者として、国際社会に衝撃を与えています。死亡したのはゼイナブ・アブ・ハリブちゃんで、母親がガザ南部の病院へ向かう途中に息を引き取ったと報じられています。

母親が語る悲痛な別れ

ゼイナブちゃんの母親イスラ・アブ・ハリブさんは、CNNの取材に対し、この3カ月間、ゼイナブちゃんが何度も入退院を繰り返していたと語りました。「交通手段がなかったため、30分以上も歩かなければなりませんでした。未舗装の長い道を、酷暑と空腹、水もない中で歩き続けました」とアブ・ハリブさんは当時の過酷な状況を説明。「突然、ゼイナブの動きと呼吸が止まり、体が重くなったように感じました」と、最愛の娘が腕の中で息絶えた瞬間を振り返りました。彼女は「もう何を言えばいいのか分かりません。ゼイナブのような罪のない赤ちゃんが、何人飢餓で命を落とせば世界は目を覚ますのでしょうか」と、国際社会への悲痛な訴えを述べました。

ガザ地区で栄養失調により死亡した生後5カ月のゼイナブ・アブ・ハリブちゃんガザ地区で栄養失調により死亡した生後5カ月のゼイナブ・アブ・ハリブちゃん

拡大するガザの飢餓と死亡状況

ガザ保健省幹部のムニール・ブルシュ医師はSNSを通じて、ゼイナブちゃんが深刻な栄養失調による合併症で亡くなったことを明らかにしました。「骨と皮だけになるまで衰弱していました。現在、ガザでは5歳未満の子ども26万人以上が栄養失調に苦しんでいます」と医師は警鐘を鳴らしています。保健省が25日に発表したデータによると、2023年の紛争勃発以降、ガザ地区では栄養失調により122人が死亡しており、そのうち83人が子どもであるとされています。

支援物資搬入の現状と国際社会の課題

これらの死亡例の大半は、イスラエルが3月初旬にガザへの支援物資搬入を拒否して以降に集中しています。5月下旬には一部の規制が解除されましたが、人道支援団体からは、届けられる支援物資の量が依然として不十分であり、栄養失調の拡大を食い止めるには至っていないとの報告が上がっています。ガザ地区の住民が直面する飢餓と医療アクセスの問題は、国際的な対応が急務であることを改めて浮き彫りにしています。

結び

ゼイナブちゃんの死は、ガザ地区における人道危機の深刻さを象徴しています。食料、水、医薬品といった基本的な生存物資の不足は、特に脆弱な子どもたちの命を脅かし続けています。国際社会は、ガザ住民への十分な支援物資の搬入を確保し、これ以上の犠牲者を出さないための緊急かつ効果的な措置を講じる責任があります。

参考文献

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