女優の今田美桜がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」は6日、第50話が放送され、出征する息子を見送る母親の魂の叫びが大きな反響を呼んだ。中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける本作は、国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦の姿を描いている。
第50話:緊迫の出征シーン
第50話では、柳井嵩(北村匠海)が丸刈りとなり、若松のぶ(今田美桜)は彼の出征を悟る。町人たちの激励を受け、柳井千代子(戸田菜穂)も涙ながらに言葉を絞り出す中、出征の日を迎えた。
のぶは学校を飛び出し、嵩のもとへ駆けつける。千代子が懸命に振る舞おうとする中、国防婦人会の餅田民江(池津祥子)は「お気持ちは分かりますけんど、そんな顔をしたらいけません。甥御さんの晴れの日ながですき。笑顔で胸を張って『立派にご奉公してきなさい』と声を掛けてあげてください。もう会えんなるかもしれませんき。最後に…未練が残らんように、ご親族として立派に送り出しちゃってくださいね」と促す。千代子は柳井寛(竹野内豊)の写真を手に、必死に言葉を紡いだ。
母親・登美子の魂の叫び
その最中、商店街の奥から「嵩」と呼びかける声が響く。母親である登美子(松嶋菜々子)だった。
出征する息子・柳井嵩のもとへ駆け寄る母親・登美子(松嶋菜々子)
登美子は愛息に歩み寄り、必死の形相で語りかける。「嵩、いいこと、絶対に帰ってきなさい!逃げ回ってもいいから…卑怯だと思われてもいい。何をしてもいいから、生きて、生きて帰ってきなさい!」。
国防婦人会の民江はこれに対し「あなた、それでも帝国軍人の母親ですか?母親なら母親らしゅう、息子さんを立派に送り出すがが、勤めではございませんか!」と非難する。しかし登美子の言葉は止まらない。「立派に送り出す?戦争に行く子に、死んできなさいと言うのが」「死んだら駄目よ。生きるのよ!」と、涙を流しながら嵩の両頬に触れた。
出征する息子・柳井嵩(北村匠海)の頬に触れ、「生きて帰ってきなさい」と訴える母親・登美子(松嶋菜々子)
「非国民」と非難されるも…
憲兵たちは登美子を「おまえは反戦主義者か?」「非国民め!これ以上ご託を並べるなら連行する」と威圧する。その時、のぶが割って入り登美子をかばった。「お国を思う気持ちは、皆同じです。けんど、生きてもんてきてほしいと願うのは、母親なら当然やと思います」「あなたのお母様も、ここにおるお母さんらあも、みんな同じ気持ちやと思います」。
登美子は最後に「嵩、必ずもんてきい!お母さんのために、生きてもんてきい!死んだら、承知せんき!」と再び息子に叫んだ。登美子とのぶが憲兵に連行されそうになるが、嵩は「憲兵殿!柳井嵩!母が…取り乱して失礼いたしました。立派に、ご奉公してまいります。行ってまいります!」と声を張り上げ、憲兵は二人から手を放した。
視聴者の感動と共感
この出征のシーン、特に松嶋菜々子演じる登美子の「死んだら駄目よ。生きるのよ!」という叫びは、多くの視聴者の胸を打ち、SNS上には感動と共感の声が溢れた。「登美子さん!母親の中の母親です」「自分勝手な母親が故に一番母親らしい登美子」「冷静に見てられると思ったのに… 登美子の登場で号泣」「松嶋菜々子と戸田菜穂の母の演技に朝から涙」といったコメントが続出し、その演技力と脚本が描く母の情愛に涙を誘われた視聴者が多かったことがうかがえる。
今後の展開
9日からは第11週「軍隊は大きらい、だけど」が始まり、物語は本格的に「戦争パート」へと突入する。出征した嵩、そして彼を待つ人々の激動の時代が描かれることとなるだろう。
[出典] Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/16ea8bfcb2ce75acb55411eba4f38f5412e7e5bf)