アニメ『機動戦士ガンダム』の主人公、アムロ・レイのモノマネで知られるピン芸人の若井おさむさん。虐待というつらい経験を経て生きる希望を失った過去があったそう。そこからお笑い芸人を目指すきっかけになった出来事とは──。
■「かすかな自分の将来への期待」で生き延びた
── 若井さんは小さいころから虐待を受けて育った過去を明かしていらっしゃいます。
若井さん:父・母・兄の4人家族でしたが、特に母の愛情は兄にのみ向けられ、僕だけ小さいころから虐待されて育ちました。理由もわからないまま理不尽に暴力を受け、何度も死にたいと思ったし、中学のときは「どうやったら母を殺せるか」と考えていました。でもそれをやってしまったら自分の将来がなくなる。どこかでかすかに自分の将来を期待した部分が勝ったことで踏みとどまれた感じです。
── それは、つらかったですよね。そんな日々のなかで、心の支えになったことなどはありましたか?
若井さん:幼少期、つらい思いを忘れられたのはアニメの『機動戦士ガンダム』を見ているときでした。高校のころになると、母や兄に対して「絶対許さんぞ」という気持ちがあるだけで、つらいという気持ちはもうありませんでした。自分のなかで気持ちを切り離していましたね。
家はただ寝泊まりしているだけでしたし、バイトをしていたので、自分で稼いだお金でコンビニで弁当を買って食べたり、バイトのまかないを食べたり、家庭内別居という感じで、父も同様に家庭内別居状態でした。学校に行けば仲のいい友達がいましたし、高校3年間軽音楽部に所属してバンドを組んでいたので、バンド活動に夢中になれたことも救いでした。
当時、僕はロックバンドのUNICORNが大好きで、バンドでカバーもしていました。高校生のころ制服の埃を取る折り畳みのエチケットブラシってありましたよね。僕はそれに「奥田民生」って書いて持ち歩いていたくらいUNICORNの奥田民生さんのファンで、ソロ曲『さすらい』は人生を変えた曲ですね。歌詞に♪さすらいもしないでこのまま死なねえぞ♪という歌詞があって。その歌詞があったから、さすらいの旅に出ました。完全に奥田民生さんの影響で。






