韓日大陸棚協定、日本が終了通知へ? 東シナ海・第7鉱区の行方と新たな火種

韓日両国が東シナ海の済州島南沖に設定した共同開発区域(JDZ)に関する韓日大陸棚協定について、日本側がその終了を通知する見通しです。1974年に締結され、78年に発効したこの協定は2028年に満了を迎えますが、満了の3年前である今年6月22日以降、一方の国が終了を通告することが可能となります。国際法判例の変化が日本に有利に働いていることから、日本が「新たな枠組み」を模索する可能性が高く、この協定終了が今後の韓日関係に大きな影響を及ぼすことは避けられません。さらに、周辺海域に力の空白が生じることで、中国が介入し、第7鉱区を巡る韓中日3カ国の新たな紛争に発展する恐れもあり、韓国政府の積極的な対応が求められています。

協定終了の背景と日本の主張

韓日大陸棚協定は1978年6月22日の発効から47年続き、2028年満了の3年前から終了通知が可能です。この協定は東シナ海の第7鉱区全域と、隣接する済州島南沖海域の一部を共同開発区域(JDZ)とし、両国が共同で資源開発を行うことを定めています。

東シナ海における韓日大陸棚協定に基づく共同開発区域(緑線)を示す地図東シナ海における韓日大陸棚協定に基づく共同開発区域(緑線)を示す地図

協定締結時は大陸棚延長論が国際法的に広く認められ、沖縄トラフに近い第7鉱区も韓国の領土と海中でつながっているという論理で韓国が管轄権を強く主張できました。しかし、1980年代以降は距離基準が国際法で一般化。海岸線から200カイリを基準とするこの原則により、第7鉱区に近い日本側の立場が相対的に強まったと評価されています。

日本は以降、「経済性に欠ける」として共同開発に消極的姿勢をとり、時間稼ぎを続けてきました。また、日本国内では協定破棄や再交渉による自国に有利な「新たな枠組み」構築を求める声が高まっています。上川陽子前外相(当時)も昨年2月、国連海洋法条約や国際判例に基づき、中間線原則による境界確定が公平との見解を示しています。日本側の主張通り中間線原則で調整された場合、第7鉱区の大部分は日本に属することになります。

韓中日紛争への懸念と韓国側の対応

韓国の専門家からは、日本が協定終了を宣言した場合、韓日関係の対立が深まるだけでなく、中国が介入し、資源開発を巡る韓中日3カ国の紛争(JDZが「新たな火薬庫」)に繋がりかねないとの懸念が表明されています。国民大のパク・チャンゴン教授は報告書で、「協定が終了すれば、新たに議論される韓日間の大陸棚共同開発と境界画定交渉に中国が積極的に介入する可能性が高い」と分析しています。

実際に、中国は第7鉱区の西南側海域で油田運営やガス田開発に乗り出すなど、資源開発に積極的です。近年、黄海の韓中暫定措置水域への構造物設置など、黄海、東シナ海、南シナ海といった近隣海域の内海化・影響力拡大を狙う中国は、協定終了による力の空白を活用する公算が大きいと見られています。

一方、日本側も中国の動きや、一方的な終了が韓日関係に及ぼす波紋、そして中国を牽制する上で米国が重視する韓米日3カ国の協力強化を損なう可能性などを考慮せざるを得ない点は、協定終了に対する抑制力となり得ます。韓国政府もこれらの点を注視し、日本が韓日共同開発の枠組みを維持するよう説得を続ける方針です。専門家らは、日本は新政権発足後の韓日関係を注視し、いずれ国益に合わせて協定破棄・再交渉に向かうと予測。歴史問題などに対する交渉カードとして使われる可能性も高いため、備えが必要だとしています。また、協定問題を歴史問題や独島問題と異なり「未来の問題」と位置づけ、大統領室がタスクフォース(TF)などを立ち上げて管理すべきだと提言しています。

今後の展望

韓日大陸棚協定の終了通知が迫る中、東シナ海の第7鉱区を巡る状況は新たな局面を迎えています。国際法判例変化を背景にした日本の立場強化と、資源開発を積極化させる中国の動向が絡み合い、韓日関係だけでなく、東アジア地域の地政学的な不安定要素となり得ます。両国にとって国益が絡む複雑な問題であり、その行方と関係国の対応が注視されます。

参考情報

  • 聯合ニュース (YONHAPNEWS)