随意契約による備蓄米の放出が始まり、関心を集めている。こうした中、小泉進次郎農水相は6月1日、コメが積み上がった都内の大型小売店を視察した。政府の米政策、特に備蓄米の活用を巡る動きと、それに対する彼の姿勢が注目されている。
備蓄米放出、都内店舗を視察
まず、大田区のドン・キホーテを訪れた。「備蓄米キタ〜!」と書かれたパネルの下で、同行したスタッフの耳打ちを気にする様子もなく、ゆったりと店内を歩みを進めた。コメを求める数百人の行列からは「小泉さ〜ん、頑張って」といった声援も上がっていた。続いて品川区のイオンへ。ここでは5キロの備蓄米が6200袋も入荷され、人々は並ぶことなくスムーズに米を手にしていた。
随意契約による備蓄米を扱う店舗を視察する小泉進次郎農水相
政界重鎮への「強気発言」とその波紋
店舗視察後の会見で、小泉農水相は「大臣の裁量内で決められることは党に諮らず決める」と言い放った。これは前日、野村哲郎元農水相(81)が述べた「(自民党農林部会の)ルールというのを覚えていただかなきゃいかん」という苦言への明確な反論と見られる。自身の判断で政策を進めるという、政界の重鎮を相手にした異例の強気な姿勢を示した形だ。
高まる支持率と「ポスト石破」の声
ある政治部記者は、小泉氏が農水相に就いて以来、内閣も党も支持率が上昇し続けていると指摘する。さらに、週明け2日の国会答弁で過去の農業政策についても言及し、事実上の減反といわれたコメの生産調整にも切り込んでいく姿勢を明らかにしたことで、彼の評価はさらに上がった。「進次郎人気で参院選での惨敗は免れた」との見方が広がっており、にわかに「ポスト石破」候補として名前が挙がり始めているという。
日本ダービーでの「感動」メッセージ
コメ視察後、第92回日本ダービーの表彰式にプレゼンターとして登場した小泉農水相は、競馬を所管する農水大臣として優勝馬主に「内閣総理大臣賞」のメダルを掛けた。これで本人もその気になったのだろうか、自身のXでは優勝した騎手に向けて「大怪我を乗り越え、雪辱を果たした姿に胸が熱くなりました」とコメントを投稿。これは、父である小泉純一郎元首相の名言、「痛みに耐えて、よく頑張った。感動した!」を想起させると指摘されている。
残された随意契約による備蓄米は約30万トンとされる。これが市場に出回り、やがて尽きる頃、新米の価格がどうなるのか、そして、備蓄米対応と自身の積極的な政治姿勢で注目を集める小泉農水相の今後の動向が注目される。
出典: 週刊新潮 2025年6月12日号 (新潮社) / Yahoo!ニュース掲載